0.司法試験・予備試験本番の六法を使う
4月1日に、令和二年度向けの司法試験用六法が発売されました(詳細はここで書きました)。司法試験においても、予備試験においても、論文式試験においては当日各人にオリジナルの六法が配布され、それを使用することになります。
個人的には、本番と同様の六法を用いることが効果的だと思っています。
いざどのような違いがあるのかと指摘してみると、以下のとおりかなり地味ですが、このいずれも実際に慣れておかないことには本番での条文の引き心地はかなり異なるためです。
お持ちでない方は周りにいる方に見せてもらうのもよいかもしれません。
ひとまず違いを列挙しておきます。
1.レイアウトの違い
司法試験・予備試験向けの六法と市販の一般の六法の最大の違いは、そのレイアウトの差にあります。具体的には、①法令参照の不存在②条文見出しの不存在③1項の記載の不存在の3つが特徴です。
(ポケット六法 令和2年度 p.437)
一般的な六法は、このように参照する他の条文が示されていたり、太字で見出し(債権者代位権の要件、のようなもの)がついていたり、1項の先頭に①がついています。
このように、引きやすくなっている点に工夫が凝らされています。
(司法試験予備試験用法文 p.569)
少しみてもらえばわかる通り、参照性という観点からは本番の六法は最悪です。
他の条文の参照がなされていません。
また、条文の見出しが太字になっていないため、目に飛び込んでくるのは条文番号のみです。
さらに、1項であっても最初に①と付されていないため、2項以降があるかどうか確認しなければ条文引用を間違ってしまうことがあります。
このように、かなり参照性が低いことに留意が必要です。
2.刑事訴訟法の条文名
さらに問題なのが、刑事訴訟法です。(司法試験予備試験法文 p.1175)
司法試験・予備試験用の法文には、刑事訴訟法に条文見出しがついていません。
そのため、知らない条文を参照する際にはかなり骨が折れることになります。
たとえば、少し見辛いですが上の画像から領置の条文を探し出してみてください。
条文見出しがついていれば即座に目に飛び込んでくるものも、多少探し出すのに時間がかかってしまうはずです。
3.ひもの活用
一方で、司法試験用六法も悪いことばかりではありません。司法試験用六法は、あまりに分厚いため、しおりひもがついています。
そのため、ひもを適宜挟み込むことによって複数の条文を行き来する際に活用することができます。
予備試験用六法は、司法試験用六法と比べると厚くないためか、しおりひもがありません。
そこで、ペン等をはさみこんでしおりにしている人が多くいるように思います。
個人的なおすすめは、多色ボールペン用のリフィルです。
試験中には当然文房具以外の持ち込みができないため、しおりとして持ち込めるのはペンかその替え芯程度です。
もちろん使っているペンの替え芯を挟むのでもよいですが、一般的なペンの替え芯はやや太いです。
それに対して多色ボールペン用であれば、かさばることがない点が良いです。
多色ボールペンの形状からしおりのような形の突起がついているほか、複数の色を用意できる点が優れています。
㈱パイロットコーポレーション
4.入手法
では、司法試験用六法をどのように手に入れればよいのでしょうか。例年であればメルカリ等で昨年度版を購入するにとどめる人も相当数いたように思いますが、今年は民法が改正された影響で、昨年度のものが使えません。
そこで、株式会社ぎょうせいが出版しているものを購入することになるでしょう。
例年は第一法規が出版していましたが、問い合わせたところ今年は出版しないようです(2020.4.1現在)。
(2020.4.6追記)法科大学院修了生サービスのTKCから1割引送料無料で司法試験用六法が発売されていました。
サービス利用者はこちらから購入するのが良さそうです。
以下、リンクです(うまく飛べなければホームページから参照するのが良いかもしれません)。
https://sp.lawlibrary.jp/lgsbin/OrderItem.aspx
一方予備試験用六法については、確認したところ出版がありませんでした。
そこで、メルカリ等で改正民法未搭載のものを購入することになるでしょうか。
会社施行規則や地方自治法、警職法など、使用することも多少ある搭載法令が載っていない点に差はありますが、法科大学院試験六法とレイアウトはほぼ同一なので、そちらを購入して参照するのも悪くないかもしれません。
これらの六法を実際に参照することで、本番さながらの練習ができることを願っています。