ABCにっき(司法試験受験ブログ)

司法試験合格を目指している受験生のブログです。令和元年度予備試験合格、令和2年度司法試験合格、現在弁護士。一部PRを含みます。

0.質問箱の回答

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参照:質問箱の利用と記事募集

1.判例百選スピード攻略講座の民法の受講と要件事実

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良さそうな着眼点だと思いました。


質問で触れられているのは判例百選スピード攻略講座のことでしょう。
(参考:アガルートの判例百選スピード攻略講座の特徴・使い方・オススメできる人
渡辺先生の答案は、かなり明確に要件事実を摘示し、民法をはじめとした民事系の思考方法の理解をアピールするものなので、おっしゃりたいことには共感します。


一方で、予備校講義を受けるために要件事実について学んでおく、というのは、個人的には順序が異なるように感じます。
要件事実は、暗記する箇所があるのはもちろんですが、知識というよりは考え方だと思います。
そのため、要件事実論的な発想をふんだんに取り入れた答案を学ぶために、要件事実の知識が必要、というような性質のものではないでしょう。
むしろ、要件事実論的な発想からの答案を読むことにより、どのような対策をすることが必要か分かるでしょうし、まずは優れた答案に触れるのが良いように思います。


判例百選スピード攻略講座等を受講したのち、要件事実を学んでみようという気分が盛り上がってきてからは、大島本などで要件事実の理論的な説明を読みつつ、暗記を進めていくのがよいでしょう。








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1.司法試験・予備試験対策で憲法の論証集は使えないのか

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「憲法の論証集は使えない」というのは、たまに見かける言説です。
そして、そのように言われる背景には一定程度共感はします。


そもそも、いわゆる論証パターンは、問題提起・理由付け・規範のセットからなります。
特定の論点について、規範を立てるまでの文言をある程度用意しておくものです。
様々な論点が重なりあっており、高度な思考が必要となる試験本番においては、そのような用意は時間の節約に繋がるため、有用です。


一方、憲法の答案は、規範に相当する違憲審査基準を立てるまでの論証に、他の科目と比べるとその問題固有の事情が多く含まれがちです。
具体的には、人権の保障範囲やそれに対する制約については、その内容も程度も様々です。
そこで、いつでも貼り付けて終えられるような理由付けと規範のセットを用意するのは困難だ、という意味で、「憲法の論証集は使えない」と言われるのだと思います。



そのような厳密な意味ではたしかにそうだと思いますが、答案の一部分に限定すれば、事前に一定程度書く内容を用意しておくこと自体は可能だと思います。
保障範囲についての文言や、いかなる事情を重視して審査基準を立てるかについて、一定程度文言を用意しておくと、その場で記述がふらふらとしてしまうことを避けられます。


また、いわゆる三段階審査を行うわけではないような場合には、いわゆる論証パターン的な記述も有効となりえます。
出題されそうな範囲では、裁量審査を行う場合や検閲該当性が問題になる場合、31条以下が問題となる場合等が挙げられるでしょうか。



このような特質を捉えながら、いわゆる論証パターン的ではなくとも、なんらかの記述を用意しておくと良いと感じます。
私は下の記事のように用意をしていました。
(参考:憲法判例の射程を司法試験・予備試験論文答案で活かす
(参考:論証集や判例集をどう回していたか(司法試験・予備試験))







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0.投資信託の積み立て日記

4月分から楽天証券で投資信託の積立を始めたので、受け渡し等がある度に記録をつけていくことにしました。
2020年4月分がかなり好調だったので、この調子で額を伸ばしていきたいところですが、どうなるでしょうか。


楽天証券で、楽天・バンガード・ファンド(バランス均等型)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を、毎月12,500円ずつ積み立てています。



今回は、8回目の11月分が受け渡されました。
200,000円投資している状態です。
いくらになっているでしょうか。




1.現在の様子


現在の様子です。

スクリーンショット 2020-11-11 8.42.53

21,373円の含み益が出ています。
2,000円分のポイントも合わせて考えると、23,373円分プラスです。


スクリーンショット 2020-11-11 8.45.13

アメリカ大統領選の影響もあってか、ここ2ヶ月は、前月より取得単価が低くできていました。
そのこともあってか、順調にリターンが増えているので満足です。



この調子で積み立てていこうと思います。





2.楽天証券でNISA口座で投資信託の積立をする

毎度日記をつける度に説明書きを書くのもアレなので、詳しくは5月分の記事にまとめてあります。
どのように買っているのか参考にしたい方はぜひ覗いてみてください。





何か動きがある度に更新をします。
投資信託が吉と出るか凶と出るか、楽しみに(できれば吉を願って)待っていてください。







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0.質問箱の回答

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1.予備試験に合格したことで周囲の反応が変わるか

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面白い質問です。
「司法試験に合格すればモテる」のように、目の前のやる気を出すために、目標を達成すれば周囲の反応が変わることを夢想することはよくありそうです。



日頃から連絡を取っていたような身近な人は、予備試験合格が司法試験の受験資格を得ることに過ぎないことをよく理解してくれていたように思います。
周りには大学院に進んだ理系の友人が多かったため、院試に受かったようなものだと置き換えて、一つのいい区切りだとして、お祝いをしてくれました。
あくまで試験が一段落しただけ、という理解だったからか、周囲の反応が大きく変わった印象はありませんでした。



日頃あまり交流がなかったような人からは、そこそこのリアクションがありました。
小学校時代の友人が、どこで情報を得たのかわかりませんが突然連絡をくれたり、そこまで親しかった覚えのない友人とご飯を食べに行くことになったりしました。
しかし、いかんせん司法試験の受験資格を得られただけなので、特に相手方に明確なメリットが存在するわけでもないですし、特にどうということはありませんでした。



予備試験合格後に新しく出会った人はそこまで多くなく、予備試験に合格したことを理由に全くの新しい人が歩み寄ってくるようなことはありませんでした。
強いていえば、大衆酒場で飲んでいたときに話しかけられた人が法科大学院出身で、予備試験の話をしたら盛り上がって飲み代を奢ってもらったことがあったくらいでしょうか。
そのほかには、予備試験合格を要求するようなインターンに参加できるようになったくらいで、特に変化は感じませんでした。



予備試験浪人をすると決めたときにあまり理解が得られなかった人からは、その際に悪化した評価が元に戻った、というような感想を抱くことがありました。
(参考:予備試験浪人をするということ)
名の通った企業の内定を辞退して留年して予備試験を受けるという決断をしたので、なぜ法科大学院を受けないのかといった疑問や、新卒内定から留年生となったことへの認識のギャップからか、あまり親しくない人からは不思議な対応を受けることがありました。
親戚にも、うまく自分の考えや、将来の見通しについて説明することができなかったからか、心配をかけてしまっていました。
そういったあまりよくない反応がなくなったという意味では、相対的に周囲の反応がよくなったと言えるかもしれません。



少し話は逸れますが、そのような背景から、予備試験浪人をすると決めたときにも、なんら変わることなく接してくれた身の回りの人への感謝はとても大きなものになりました。
以前までと同様に仲良くしてくれた友人や、頼りに感じてくれたのか困りごとを相談してくれた友人の存在がなければ、試験を最後まで受けきることができたかよく分かりません。
そのような人たちは、予備試験に合格したと知ったときも、一緒に喜んでくれはするものの、反応が変わるようなことはありませんでした。



このように、司法試験の受験資格を得るに過ぎない予備試験の合格で周囲の反応が大きく変わることはないし、どちらかというと受験の前後を通じて変わらず親しくしてくれる人の存在が自分にとっては大事だったなあ、というように感じます。
そういうわけで、「予備試験に合格すればモテまくりで人生が順風満帆」のようなことは、少なくとも私には起こりませんでしたが、それとは別に充足感の得られる経験になった、と振り返っています。









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0.予備試験口述式試験の対策

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かなり気が早いような気がしますが、口述式試験の対策について書いておくことにしました。
私は予備論文の合格発表後から対策をはじめたので、概ね2週間くらいで以下のような対策をしていました。




1.口述の出題内容

口述の出題内容は、例年おおまかには決まっており、
民事:訴訟物・請求の趣旨・要件事実・執行保全の知識・立証方法・法曹倫理
刑事:構成要件の理解・学説対立・刑事手続・法曹倫理
あたりです。

そのため、以上の内容について覚えていきました。

2.民事の対策

まずは、過去問を読み、おおまかな出題内容を把握しました。
あとは、その内容・形式に合わせて回答ができるように暗記を進めるようにしました。

具体的には、訴訟物・請求の趣旨・要件事実の暗記のためには、いわゆる大島本で扱われている内容を全て丸暗記していました。



また、執行保全の知識・立証方法・法曹倫理については、辰已の赤本を利用していました。



このあたりで知識量としては十分だったと思います。
総じて、予備論文の民事実務基礎科目の対策で用いたものを扱ってやれば良いように思いました。

3.刑事の対策

こちらも、まずは過去問を読み、大まかな出題内容を把握しました。
あとは、前述の出題内容についての理解を深められるようにしていきました。


とはいえ、こちらも予備論文の刑事実務基礎科目の対策で用いたものを扱うので基本的には足りました。
(参照:予備試験の刑事実務基礎科目の対策・解き方)
具体的には、刑事実務基礎の定石を読み込むような勉強をしていたように思います。




予備論文向けの対策と異なる対策をした箇所があるとすれば、学説対立が問題となりそうな箇所を重点的に学んだことが挙げられるでしょうか。
口述刑事で問題となりがちな事例問題は、複数の立場から検討すると異なる結論が導かれるようなものが多かったため、そのような対策をすることにしました。
具体的には、基本刑法を用いて主要な学説対立が問題となるトピックを検討しました。
自分があまり詳しく理解していないトピックが書かれた箇所に付箋を貼りながら1周通読をし、あとは付箋の箇所だけ2周目を読む、というように勉強をしました。
(参考:基本刑法ユーザーはなぜ多いか(質問箱回答))


4.模試の受験・合格者との練習

予備口述は不思議な試験で、正しい答えをいかに導くかを求められているかというよりは、適切な受け答えができるかに主眼が置かれているかのように思えます。
すると、上述のような知識の確認ももちろん重要なのですが、それと同等に、法律の会話ができることが重要になります。

私は辰已と伊藤塾の口述模試を受験したほか、昨年度以前の合格者の方に頼んで、2016~2018年の過去問や過去の模試を素材に練習をつけてもらいました。


そんなに予備合格者の知り合いはいないよ、頼みやすい知り合いは少ないよ、と思われるかもしれませんが、予備合格者は皆口述の対策が大変だったことを覚えているため、気前よく練習を受けてくれることが多いのではないかと感じます。





だいたいこのあたりでしょうか。
2週間でできる量はせいぜいこのくらいでしたし、これで十分だったなあと感じています。


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参照:質問箱の利用と記事募集

1.予備論文と司法論文で必要な知識量の差はあるか

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予備論文の受験、ほんとうにお疲れ様でした!


少し回りくどい回答になりますが、「必要となる知識量にはそう差はないが、用意すべき知識量には差がある」というように感じました。


予備論文にせよ、司法試験論文にせよ、条文の制度趣旨や要件の定義、主要概念の定義、百選掲載判例の判旨を理解しておいて、事案にあわせて妥当な結論を出すことが求められているように思います。
すると、必要な知識自体はそう変わらないことになると思います。


一方、司法試験論文は、予備論文と比べて、分量が多い割に時間はそう伸びていないため、一定程度の処理能力がなければ点数を伸ばすのが困難です。
そのため、現場で「事案にあわせて妥当な結論を出す」ことは、実際にはかなり難しいことになります。
あらかじめ主要な論点にまつわる問題意識について考えておくと、多少現場での処理が楽になるため、このような対策が必須です。
そのような意味で、用意すべき知識量には差があるように感じます。


もし予備試験に最終合格した(ないし合格したことを前提に対策をする)なら、手持ちのまとめノート等で基礎的な知識を確認しつつ、過去問や演習書を利用して、未知の問題意識に向き合うような学習をするのが良いのかなあ、と感じています。




関連する話題として、司法試験の出題趣旨・採点実感についてがあると思います。
司法試験の過去問は、十分な対策時間のある受験生の全員が検討しており、その一環で必ず出題趣旨や採点実感を読んでいます。
そのため、過去問出題箇所についての知識については、予備受験生と比べて、圧倒的に充実した対策をしていることになります。
そういう意味でも、用意すべき知識量に差が生まれるように思います。
(参考:予備試験対策と司法試験対策はどう違うのか(比較・質問箱回答)



そのため、もし自分が司法試験に不合格になったとしたら、予備試験と司法試験のギャップに対応できなかった、と反省するというよりは、予備試験対策にも必要だったような基礎的な理解に穴があった、と反省することになるように思います。









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0.質問箱の回答

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参照:質問箱の利用と記事募集


今回は、iPad学習に関連した質問が来ていたので、回答してみようと思います。
なお、iPadを用いての司法試験・予備試験の学習についてはこちらで書いています。
参照:司法試験・予備試験とiPad活用術

1.iPad学習をしていた教材と画面の見過ぎの対策

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主なデータ化した教材は、
・趣旨規範ハンドブック等の論証
・自作の論証
旧司法試験論文過去問解析講座
・ぶんせき本
・判例百選
あたりです。

選んだ基準は、複数回にわたり、とっさに確認したくなる教材かどうかです。
これらの教材さえあれば、出先で、前もって準備していなかった科目を勉強したくなっても、困ることはありません。


逆に、演習書や基本書、答練等はデータ化せず、紙媒体のまま持ち歩いていました。
これらはとっさに確認したくなることがないか、すでにその内容を論証集のデータに集約していたためです。
(参考:論証集や判例集をどう回していたか(司法試験・予備試験)
また、答練等は、本番と同様の環境に慣れるため、実際に紙上で答案構成をしたり答案作成をしたりすることが大事だと思っていたので、紙媒体を利用しました。
同様の利用から、司法試験用六法は紙のものを使っていました。


このように、一日の勉強の全てを画面で行なっていたわけではないので、目が疲れることは特に問題になりませんでした。
それよりも充電が切れそうになって出先での勉強をやめることの方が多かったことの方が気になっていました。
そこで、やたら大きなモバイルバッテリーを買っていました。



2.教材のPDFでの管理や編集について

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嬉しいご報告ありがとうございます!

PDFでの管理(教材のPDFデータの管理のことでしょうか)は、Dropboxを利用していました。
特にクラウドサービスにこだわりがあったわけではありませんが、昔から利用したというだけの理由でDropboxを使用しています。


教材データの編集は、GoodNotesが便利でした。
ページの相互読み込み等がしやすく、自分なりの論証集を作成するのに役立ちました。
ただ、加工や文字の入力が特段しやすかったわけではないため、そのような用途を中心に想定している方だと物足りないかもしれません。



皆さんのiPad学習を応援しているので、細かな悩みでもいつでも相談してください。








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司法試験を終えて、就活も一段落したことで、自分の特徴について再度考えたくなってみました。
そこで、ストレングスファインダーをやってみることにしました。 
参照:クリフトンストレングスオンライン才能テスト


ストレングスファインダーは、自分の強みを知るためのテストとして、定評のあるものです。


スクリーンショット 2020-10-27 23.18.20



書籍についたクーポンコードを用いるか、上記サイトの「ストア」で購入するかのいずれかの方法で、テストが受けられます。
テストは、よくある性格診断のようなもので、2択のうちより自分に当てはまるものを選択していくものです。
テストに答えると、34の資質や行動アイデアから、自分に当てはまるものを教えてくれます。
私は、2,000円くらいの書籍を買って、それについたクーポンコードを用いて、上位5つの資質や行動アイデアを示してくれるものをやってみました。



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(画像を載せておいて何ですが、恥ずかしいので2位以下を隠してしまいました。)
するとこのように上位5つが提示されます。


自分で自覚している点や、意外な点が見つかって、勉強になりました。
勧められている職業に、目指している弁護士が挙げられていて、ちょっぴりホッとしました。


いい経験になったので、もしよければ是非やってみることをオススメします。





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0.知財を選択科目にする

司法試験・予備試験(2022年試験から)の選択科目の1つに、知的財産法があります。
私は2020年司法試験の選択科目を知財にして受験しました。


知財は選択科目として一定の人気がある科目ですが、もっともメジャーというわけでもなさそうです。
個人的にはオススメの科目なので、その魅力を伝えられると嬉しいです。



1.選択科目をどう選ぶか

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そもそも、選択科目を選ぶときは、どのようなことを気にすればよいのでしょうか。
よく言われるのは、「自分が興味を持てる科目を選ぶ」という、あまり間違いのなさそうな選び方です。
興味の持ちづらい科目はなかなか勉強が進まず、その科目の特性が活かしきれないことがありえます。
そのため、これは従うべきアドバイスだと思い、私もそのようにしました。


興味を持てる科目が複数あるときに、さらにどのようなことを考慮すべきかについては、あまり説得的な議論に出会うことができませんでした。
そのため、以下のようなことをとりあえず考えていました。


・試験科目としてどのような性質があるかを重視する。
選択科目は、あくまで司法試験で受験する一科目にすぎません。
選択科目について調べていると、就活での影響や実務での重要度のようなことが触れられることがありました。
しかし、司法試験と実務では、各法分野で重要となる内容も異なり、その検討レベルも異なるはずです。
すると、司法試験で特定の科目を選んだからといって実務家としての資質が左右されるようなものではないのだろう、と思うようになりました。
就活での影響については少し心配していたのですが、ESで選択科目を書くことはあったものの、面接等で特に聞かれることもありませんでした。
そこで、特定の法分野に特化した事務所等でなければ、特に考慮しなくてよいのだろう、と考えます。


・受験勉強の環境が整備されていない科目は避ける。
いくら興味があっても、受験で用いる科目なので、勉強が著しく困難な場合には不利益が大きそうです。
そこで、受験者数が極端に少なかったり、教材が豊富でなかったりする科目は避けることにしました。
ただ、これは指導を受けられる先生がいらっしゃったり、意欲的な自主ゼミに参加していたりするような場合には、克服できる点かもしれません。


・利点に見える特徴がある科目も、それが相対評価の試験ではどのように影響するか考える。
司法試験の選択科目の点数のつけ方は、各選択科目の選択者の中で偏差値様の数字を出したのち、全選択科目でちらばりを調整するようなものです。
そこで、「簡単」「暗記量が少ない」といわれるような利点があっても、それはその選択科目を選択した受験生全員が享受する利益であることに注意するようにしました。
つまり、利点に見える特徴が、他の選択者に比べて特に自分にとって有利でなければいけません。

たとえば、暗記量が少ないということは、現場で考えることが多く点数が不安定になりうる、というようなことがありえます。
そのため、現場思考に自信がなければ、必ずしも最適な選択科目でないかもしれない、と考えることができます。


・点数が不安定になりそうで、科目足切りの危険性のある科目は避ける。
選択科目は、他の7法と異なり、その科目単体での科目足切りのある科目です(司法試験のみ)。
そこで、万が一の事故に備えて、点数が安定していそうなものを選びたいと思っていました。


このような視点から、選択科目を選んでいきました。

2.受験科目としての知財の特徴

受験科目としての知財の特徴としては、次のようなことが挙げられると思います。

・条文を用いて設問を解決 / 視野を広く持って条文を探すことになる
知財は、少なくない問題が条文の適用で解決できます。
そこで、多くの場合その要件解釈が適切にできれば、点数に繋がります。
しかし、条文を正しく引けなければ的外れな記述をすることになってしまうため、現場である程度視野を広く持って、適切な条文を探すことが要求される科目だと感じました。


・当てはめがあまりない / 法解釈で勝負することになる
知財は、第1問が特許法、第2問が著作権法の問題になっています。
特許法はその性質上、科学的な素養がなければ認定のできない事実が問題になる事案が少なくありません。
そのような背景からか、当てはめで差がつくような問題は、基本7法と比べると相対的に少ないように感じます。
すると、勝負は自然と法解釈の巧拙でつくことになります。


・ある程度定型的な議論が可能 / 答案を書く分量がかなり多い
特許法であれば特許権、著作権法であれば著作権がその主人公です。
たとえば著作権であれば、著作物性・著作者・支分権・制限規定の4段階が問題になりますが、このいずれにも一定の記述が必要となります。
そのため、この4段階についてそれぞれ考察を加えてやれば、大きく議論が迷子になることは少ない印象です。
一方、刑法ですべての行為について客観的構成要件・主観的構成要件・違法性阻却事由・責任等を論じることを想像してみれば分かると思いますが、かなりの分量となってしまいがちです。


・特許法と著作権法という毛並みの異なる法律を学べる / 試験時間中に頭の使い方が異なる
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(質問ありがとうございます!)
特許法と著作権法は、やや異なる考え方で問題を解くことになります。
そこで、どちらともが苦手ということにはなりづらく、勉強し始めてから決定的に困るということは少ない印象です。
ただ、試験時間中に異なる頭の使い方をすることになりえます。

とはいえ、違いは相対的なものですし(人によってはあまり違いを感じないこともあると思います)、他の選択科目においても起こる程度の差だと思います。
また、刑事訴訟法で捜査法と証拠法の問題を解いて頭が混乱することを懸念する方はいないように、実際に上記のような困り方をすることはないかなあ、と考えます。

3.私がどう選んだか

上記をふまえて、以下のように考えていました。

私が興味を持っていたのは、知的財産法・倒産法・租税法の3科目でした。
このうち、租税法は相対的に人数が少なく、身の回りに頼れる先生もいなかったため、最初に候補から外しました。

知的財産法は、事前に仕入れていた上記の特徴を見るに、特に自分にとって苦になりそうなデメリットがなかったため、選ぶ上での懸念がありませんでした。
一方、倒産法については、私法との関連が強いと聞いており、民法や民事訴訟法の理解にやや不安があった自分が、科目足切りを避けられるかどうかに確信を持てなかったため、避けることにしました。


その上で、他の選択人数が多い科目である労働法・経済法・国際私法についても若干検討しました。

労働法は、やや多い規範を丸暗記しておけば大方対応できると聞いていました。
しかし、私は予備試験で規範を暗記することへの苦手意識があり、積極的に選択するきもちにはなりませんでした。
(参考:できなかったと思って予備試験に受かった・その逆(質問箱回答)


経済法は、ほぼ興味がなかったというのが第一にありますが、問題とすべき条文の選択を間違えるとかなり苦しい戦いを強いられるということを聞いていたのがネックでした。
足切りリスクがあるように感じたためです。
(もっとも今から思えばこれは知財にもややあてはまることのようにも思います。経済法を選ばなかったのは何よりも興味がなかったことが原因のように思います)


国際私法は、暗記量もかなり少なく、簡単に実戦レベルになると聞いていました。
しかし、だからこそ何で勝負がつくのかが不透明で、もしそれが本番のひらめきのようなことであれば、足切りリスクを背負ったり、点数でハンデを背負ったりしかねないと考えました。



このようにして、知財を選択するに至りました。


他科目についての情報はまったく信用に足らないので、選択者の方にチェックしてほしいところです。

4.知財の勉強方法

このようにして選んだ知財の勉強方法については、別途まとめておいたため、参照してみてください。

参照:司法試験の知的財産法の勉強法・予備校講座・基本書と演習書について





以上、知財を選択した話でした。
選択科目を選んでいる方や、知財選択を後悔しそうになっている方等の参考になれば幸いです。



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1.手応えと結果がちぐはぐだった話

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このツイートへの反応だと思います。


考えられることは3つほどあるように思います。


まずは、単に論点の理解度や暗記が足りていなかったこと。
不合格になった年も、大きな論点の見落としは特になく、答案の大枠はそう誤っていないようにも見えました。
しかし、たとえば規範の暗記があいまいであるとか、求められる水準には達していなかった点が多々あり、ぼろぼろと点を落としていました。
相対評価なので特に何も意味しないことではありますが、論点名自体は落とさず規範があやふやだった科目と、論点は落としつつも書いた箇所は正確な記述ができていた科目では、後者の方が評価が高くなっていました。
なお、敗因分析は下記の記事でもしています。
(参考:予備試験浪人をするということ



次に、自分への要求水準が変わったこと。
合格した年の方が様々な準備を進められていたため、「できる」の意味するレベルが高まっていました。
そこで、落ちた年の「できた」よりも受かった年の「できなかった」の方がレベルの高い状態にあったかもしれません。
受かった年は最低評価の科目でもDランクだったので、おおむねどの教科でも沈まずに試験を終えられました。



さらに、手応えの悪かった科目に目が向いたこと。
不合格だった年は、客観的に見て出来のよい科目の方が少なかっただろうため、明確にできたと感じる科目に注目をしていました。
そのため、不出来な科目のことを棚にあげて、できたように気持ちになっていたのだと思います。
ふつうだと思っていた科目はE・Fランクで、それが中心になってしまっていたので惜しくもなく不合格でした。
一方で、合格した年は、ふつうだと思っていた科目はAランクで、そうでなさそうな科目に着目して「できなかった」という気持ちになってしまっていました。




このように、不合格した年よりも合格した年の方が客観的に見て成長していたけれど、自分の主観的評価の基準も変わっていたので、手応えと結果がちぐはぐになってしまいました。
(できたと思ったのが誤りだっただけで、実力に比して低い評価を受けるような特別な事情があったというわけではありませんでした。)






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