0.法学部生のカバンは重い

法学部生の特徴に、「なんだか重いカバンを持ち歩いている」というのがあります。
大学や試験の勉強のためになんだか色々なものを用意する必要があるのは事実で、最初のうちはこれに悩まされていました。
しかし、これは、ちょっとした工夫で解決できるものであることを知り、大学時代の後半はスカスカのカバンで登校できるようになりました。


そう、iPad学習をするのです。


1.カバンの中身

そもそも一般的な法学部生のカバンの中身はどうなっているのでしょうか。
多くの場合、基本書と呼ばれるような参考書、判例百選、ポケット六法、問題集、授業のレジュメ、予備校のテキスト等が入っていることになります。
これら全部が入っている日には、我慢できないほどカバンが重くて、大学に行くのが億劫になったことがある人も多いでしょう。

これらのものは全て持っていく必要があるのでしょうか。

2.iPadアプリで代替

結論から申し上げると、ほとんどがiPadアプリで代替可能です。
(他のタブレット端末でも実現可能です。今回はiPadの例を紹介します。)



まずは、参考書、百選等の書籍についてです。
これらは全てスキャンしてPDFデータにしてしまえば、iPadのPDF表示アプリで参照可能になります。

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(刑事訴訟法判例百選 第10版 p.4)

iPadの画面サイズで表示が見えづらいことはほとんどなく、快適に読み進めることができます。
こうした書籍を全て持ち歩く必要がなくなるとすれば、それだけで一気にカバンが軽くなるはずです。



大学で配布されるレジュメ等も、当然同様にスキャンしてやればiPadで参照可能です。
そもそも大学では、レジュメのデータがあらかじめ配布されることも少なくなく、印刷して持ち歩くよりもデータの管理するのが簡便なはずです。



六法についても、当然に対応しています。
法令とPDFデータを同時に参照することも可能であるほか、六法アプリなら条文の検索等も容易なので、通常の六法を扱う場合より便利に使うことができるかもしれません。
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(画像のアプリはこのリンクから取得できます)




問題集に至っては、一部はアプリになっています。
例えば、辰已法律研究所の有名な予備試験・司法試験の短答式問題集である肢別本はアプリとして発売しています。
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正答率の管理等が容易なほか、書籍で買うよりも安価に購入することができ、いいことづくめです。




以上のように、iPadアプリで容易に代替が可能なのです。


3.iPad学習でさらにその先へ

しかし、このままでは単にiPadで参照することができるのみに思えます。
紙媒体で学ぶことにも一定のメリットがあるとされる上、大学の試験や司法試験本番でiPadが持ち込めるわけではないことから六法等は紙で慣れておきたいという需要があるのも納得できます。
また、持ち歩きが簡便であるためだけにiPadを買うのは......という気持ちにもなってしまうでしょう。



そこで、iPadを利用することにより紙媒体では簡単にはできないことが実現できる例をいくつかご紹介します。



iPadでの学習が圧倒的に優れているのは、編集の容易さです。
当然紙の参考書等も書き込みは容易なのですが、余白には限界があるほか、紙は加工を重ねるごとに劣化していってしまいます。
そのため、あまりダイナミックな加工はできないでしょう。


その点iPadでの編集の場合にはそのような限界はありません。
私は、学習のため、一元化教材として趣旨規範ハンドブックを採用して、iPad上で編集しています。
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(趣旨規範ハンドブック民事系 p.435を加工したもの)

同一の書籍の他の部分が参照された場合にいちいちページをまたぐのは大変なので、このように貼り付けてしまうことができます。
数タッチでこのような加工ができるため、気軽に編集ができます。




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(趣旨規範ハンドブック 民事系p.495に書き込みを加えたもの)


他の参考書を読んだときに見つけた大事な書き込みを保存しておくこともできます。
この例にはありませんが、出典を書いておくことで元の文献にあたることも容易でしょう。


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(趣旨規範ハンドブック 民事系p.491に民事訴訟法判例百選 事件44の判旨を貼り付けたもの)

貼り付けは同一書籍のものに限りません。
他の参考書の一部抜粋を貼り付けておくことができます。
もちろんこれも数タップで実現できます。
紙媒体でやろうとすると、コピーは面倒で、しかも貼り付けた紙はシワシワになってしまいます。


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(趣旨規範ハンドブック 民事系に北斗の合格論証集 民法 及び 伊藤塾基礎マスターの記載を貼り付けたもののサムネイル)


こうなってくると何がなんだかわかりません。
各種書籍のスキャンしたデータがそれぞれ有用で、一箇所にまとめておきたい場合は、このように互い違いに読み込んでしまえば、一挙に参照できます。
紙媒体で実現することも一応できるでしょうが、私は到底やる気がしません。




さらに大きい利点としては、検索機能があります。


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(趣旨規範ハンドブック民事系 p.65)

特定のキーワードを入れると、きれいにスキャンした場合はスキャンした教材の文字や自分で入れた書き込みから、横断的に検索が可能になります。
これも紙媒体ではできない、圧倒的なメリットです。
付箋まみれの参考書を持ち歩く必要などないのです。




また、音声・動画を流すこともできます。
アガルートなど一部の予備校では、講義データをmp3形式で配布しており、耳で聴きながら学習することを推奨しています。
iPadでも当然それらを聴くことができるため、先ほどのようにスキャンしたテキストデータをiPadで参照しながら、音声をiPadで流す、という使用方法が考えられます。
もちろん動画形式の講義を聴く際も同様で、複数ページを同様に見ながら作業をすることができます。
その他、ウェブページを参照しながら学習をしたい場合もあるでしょう。
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このようにして、勉強するときはiPadだけ持っていけば大丈夫!という態勢が完成します。
しかも、紙媒体をたくさん持っていくよりも、iPadだけを持ち歩いている方が断然参照性が高い状態になったことがわかったかと思います。

4.iPad学習の用意

では、iPad学習の環境を整えるには何が必要でしょうか。
大きく分けて、①PDFファイルの用意②iPadとアプリの用意③PDFファイルの読み込み④関連アイテムの用意 が必要です。


まず、①PDFファイルを用意する必要があります。
PDFファイルを作成するには、書籍をスキャンすることになります。
逐一見開きのページをスキャナーでスキャンすると、きれいにスキャンができないほか、かなり手間がかかるので、あまりオススメしません。
キンコーズ等の印刷業者で「背表紙を断裁してください」とお願いすると、教材をスキャナーで高速スキャンしやすい状態に加工してもらえるので、試してみるとよいでしょう。


スキャナーは大学の自習室等に置いてあるコピー機の機能として使える場合も多いため、確認してみるとよいと思います。
例えば東京大学では、法学部自習室の1階のコピー機にUSBメモリを挿すと無料でスキャンが可能です(2020.2.5現在)。


自ら持っている教材を断裁することに抵抗がある方は、次のどちらかの手段によってPDF化をすることになります。
一つ目の手段は、メルカリ等で断裁済みの書籍を購入し、それをPDF化することです。
もう一つの手段は、(先ほど否定したものですが)逐一スキャンしていくことです。
スキャナーを使う以外では、スキャンアプリはかなり優れたものも多いため、こちらを使う手段もあるでしょう。
Microsoftが出しているスキャンアプリがかなり高性能なOCR(文字の読み取り機能のこと)を実現しているため、こちらをオススメします。
https://apps.apple.com/jp/app/microsoft-office-lens-pdf-scan/id975925059?ign-mpt=uo%3D4







次に、②iPad側の用意です。
まずはiPadを購入します。
どれでも構わないのですが、後述のApple Pencilを購入する場合には、最新のApple Pencilに対応するバージョンが限られているため、確認してみることを推奨します(私は使っていません)。


Apple Pencil(第2世代)
Apple(アップル)
2018-11-07





そして、先ほどのPDF表示アプリを購入します。
無料のものもありますが、有料アプリの方が圧倒的に便利であるため、多少の出費を厭わずに購入してしまうことをオススメします。
この記事で使っていたアプリはGoodNotesというアプリで、上記で示したような機能が980円で全て使用できます。
https://apps.apple.com/jp/app/goodnotes-5/id1444383602?ign-mpt=uo%3D4


また、データを管理するためにクラウドサービスを利用するのもいいでしょう。
Googleドライブ等を用いると、管理に便利なほか、次のところで読み込むのにも便利です。



あとは、③PDFファイルを読み込む必要があります。
①で作成したPDFを、パソコンで保存したのちに、iPad上で表示できるように読み込みます。


大きく分けて二つの方法があります。
一つは、iPad内に保存する方法です。
GoodNotesには、iPad内に保存されているファイルを読み込む機能があるため、iPadにPDFファイルを保存しておくとそのままアプリで表示できるようになります。



もう一つは、クラウドサービス上で保存しておく方法です。
クラウドサービスに保存しておき、そのサービスのアプリをiPadにインストールしておくと、このように読み込むことができます。

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(画像はDropboxを利用した場合のものです)


管理も簡単なので、私はこちらをメインで用いています。





さらに、④関連する備品を購入するのもアリでしょう。
具体的には、書き込みを入れるために、手書きペン(Apple Pencil等)や、Bluetooth対応のキーボードを用意することをオススメします。
私は後者を用いていて、適宜タイプして補筆をしています。






これで準備は完成です。

5.おわりに

このように、iPadを導入することで、法学部生の重たいカバン問題を解決するどころか、より便利な学習環境が達成されます。
「法学部生はなんだか重いカバンを持っている」という時代は2020年までで終わりにして、スマートに学習する時代を共に築いていきましょう。



ありがとうございました。


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