0.基礎マスターや総合講義を終えたら
大学やロースクールの授業、基本書等での自習、予備校の講座で一通りインプットを終え、予備試験に挑戦しようと考えたとき、まず最初に立ちはだかるのが短答式試験です。第一段階目の試験である短答式試験は、倍率が5倍前後にもなり、あなどれません。
受験者が年々増えていることから、最近は予備校の短答向け講座もかなり充実してきています。
そのようなことから、勉強する素材には事欠きません。
にもかかわらず(それゆえ)、勉強の方針を定めるのが難しいことも確かです。
知識をあらかた入れたと思っても、思いの外点数が取れないこともしばしばです。
様々な教材や講座があるので、方針がブレてしまわないように、何が求められているのかを見失わないようにしましょう。
ちょうど先日後輩からの相談にぼんやりと回答した内容があるので、記事にしてみました。
かなり基本的な方針についてのみ書いてみたので、短答対策の第一歩に悩んでいる方は参照してみてください。
1.予備試験短答で求められる能力
予備短答の問題は、解答の仕方に種類こそあれ、いずれもある文の正誤判定です。たとえば、次のような問題です。
(平成30年司法試験予備試験短答式試験 民法)
それぞれの選択肢では、条文か判例の判断に関連する記述がなされているのが一般的です。
ごく単純ですが、これに解答するためには、条文知識と判例知識をインプットしていくことが必要になります。
(厳密には、条文か判例だけでなく、学説に関連する知識があると解きやすい問題も出題されます。しかし、現状では、与えられている二文が対応しているかが問われる、というような論理パズル調の問題が出題されるにとどまり、特に学説知識をインプットする必要はないだろう、と考えています。)
2.やるべきこと
とはいえ、ひとくちに条文知識と判例知識といっても、いずれも膨大な量があります。ある程度メリハリをつけて学習をしていかなければ到底終わりませんし、うまく記憶に定着しません。
そこで、ひとまず一般的に優先度が高いとされている対策を挙げてみます。
・過去問を中心に、市販の問題集を解く。
・頻出の分野や切り口についてまとめる。
・毎日問題に触れる。
以下では、それぞれどのような素材を用いて学習することになるのか、これらの対策がどのように条文知識と判例知識と関連するのかについて書いていきます。
3.短答の過去問・問題集の利用
まず第一に、短答の過去問・問題集を解くことです。過去問で登場した選択肢が再び登場することが往々にしてあります。
そこで、同じ選択肢が出題された場合には確実に正解できるようになっておくと、点数が取りやすくなるはずです。
また、複数回出題された選択肢は、前回出題されたときより明らかに正答率が高くなっていることもあり、多くの人が行なっている対策のはずです。ここで差がつくのは勿体無いので、できる限り触れておくことが望ましいところです。
このように、過去に出題された問題は、受験生が最低限暗記すべき判例知識や条文知識の範囲を示す役割を果たしています。
そのため、過去問を解いていくことは、必要な知識が何かを把握する意味で必須のこととなります。
そこで、同じ選択肢が出題された場合には確実に正解できるようになっておくと、点数が取りやすくなるはずです。
また、複数回出題された選択肢は、前回出題されたときより明らかに正答率が高くなっていることもあり、多くの人が行なっている対策のはずです。ここで差がつくのは勿体無いので、できる限り触れておくことが望ましいところです。
このように、過去に出題された問題は、受験生が最低限暗記すべき判例知識や条文知識の範囲を示す役割を果たしています。
そのため、過去問を解いていくことは、必要な知識が何かを把握する意味で必須のこととなります。
使うと教材としては、公式HPで確認できる問題を逐一読む場合を除けば、大きく分けて、
・選択肢単位で正誤を問う問題集の「辰已の肢別本」(俺はこれを使いました)
・問題単位(本番と同じ問われ方)の「短答過去問パーフェクト」等
があります。
どちらを使うかは好みですが、個人的には、全く同じ問題のまま出題されることはないだろうことから、選択肢単位でインプットができる肢別本がオススメです。
肢別本は、旧司法試験時代も含めた相当数の年度にまたがる過去問の選択肢をまとめた問題集です。
選択肢ごとに正誤が学べるため、個別の知識をインプットするのに便利でした。
その場合、出題形式に慣れるために模試等で練習することが必要になりそうですが、後述します。
肢別本は、旧司法試験時代も含めた相当数の年度にまたがる過去問の選択肢をまとめた問題集です。
選択肢ごとに正誤が学べるため、個別の知識をインプットするのに便利でした。
その場合、出題形式に慣れるために模試等で練習することが必要になりそうですが、後述します。
なお、厳密には私は肢別本のアプリを用いていました。
スマートフォンやタブレットで利用できるので、確認してみてください(iPadでの学習についてはこちらから)。
iPhone・iPad: https://apps.apple.com/jp/app/2020-%E8%BE%B0%E5%B7%B2%E3%81%AE%E8%82%A2%E5%88%A5-%E5%8F%B8%E8%A9%A6-%E4%BA%88%E5%82%99-ls/id1451572532#?platform=iphone
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=ltd.co.tatsumi.AshibetsuApp&hl=ja
一方短答過去問パーフェクト(通称「短パフェ」)は、本番で問われた問題の形式(複数選択肢を一度に問うもの)で、分野ごとにまとめ直した問題集です。
こちらを使う場合、本番と同様に問題を解く感覚が養われるため、これも有用でしょう。
スマートフォンやタブレットで利用できるので、確認してみてください(iPadでの学習についてはこちらから)。
iPhone・iPad: https://apps.apple.com/jp/app/2020-%E8%BE%B0%E5%B7%B2%E3%81%AE%E8%82%A2%E5%88%A5-%E5%8F%B8%E8%A9%A6-%E4%BA%88%E5%82%99-ls/id1451572532#?platform=iphone
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=ltd.co.tatsumi.AshibetsuApp&hl=ja
一方短答過去問パーフェクト(通称「短パフェ」)は、本番で問われた問題の形式(複数選択肢を一度に問うもの)で、分野ごとにまとめ直した問題集です。
こちらを使う場合、本番と同様に問題を解く感覚が養われるため、これも有用でしょう。
ただ、これらの問題集は、予備試験の過去問のみならず新司法試験や、旧司法試験の問題も含むことがあるため、量が膨大です。
たとえば肢別だと全科目合計で8000肢強あるので、どこまでできるかわからない状況では、年度単位で予備試験過去問を解いていく、というような方法が現実的かもしれません。
たとえば肢別だと全科目合計で8000肢強あるので、どこまでできるかわからない状況では、年度単位で予備試験過去問を解いていく、というような方法が現実的かもしれません。
4.短答知識をまとめる
前述のような問題集を解いていると、どうも複数回同じようなことが問われていることに気がつくはずです。
頻繁に出題されるため、そこについて知識を固めておくだけで、その配点が確定するような分野があります。
例を挙げるなら、行政法の処分性、刑事訴訟法の公判前整理手続の概要、のようなものです。
これらの分野にかかわる判例の結論だけでもまとめておくと、容易に正誤判定ができるようになる問題があります。
頻繁に出題されるため、そこについて知識を固めておくだけで、その配点が確定するような分野があります。
例を挙げるなら、行政法の処分性、刑事訴訟法の公判前整理手続の概要、のようなものです。
これらの分野にかかわる判例の結論だけでもまとめておくと、容易に正誤判定ができるようになる問題があります。
分野に限らず、問われ方の切り口についても同様のことが言えると思います。
たとえば、民法で善管注意義務を負う場合と自己の物と同一の注意でよい場合の差は、逐一暗記していくにはなかなかしんどいような気がします。
どちらかというと後者の方が限定的なので、それをまとめておくと正誤がわかりやすい、のような感じです。
もっと単純に、丸暗記しておくことが有用であることもありえるでしょう。
たとえば、連帯債務の絶対効の語呂合わせのようなものです。
「あべ(弁済)そうさい(相殺)コンドーム(混同)つけずにこうかい(更改)」の4つです(どこで拝見したか忘れてしまいました、原案者の方は教えてください)。
このような対策は、過去問等が条文知識や判例知識の範囲を画するものだとすれば、条文知識や判例知識を本番で使えるように整形してインプットすることにあたります。
どちらかというと後者の方が限定的なので、それをまとめておくと正誤がわかりやすい、のような感じです。
もっと単純に、丸暗記しておくことが有用であることもありえるでしょう。
たとえば、連帯債務の絶対効の語呂合わせのようなものです。
「あべ(弁済)そうさい(相殺)コンドーム(混同)つけずにこうかい(更改)」の4つです(どこで拝見したか忘れてしまいました、原案者の方は教えてください)。
このような対策は、過去問等が条文知識や判例知識の範囲を画するものだとすれば、条文知識や判例知識を本番で使えるように整形してインプットすることにあたります。
まとめる方法としては、ノートや、暗記用アプリにまとめることが考えられます。
あとは、先ほどあったような条文知識や判例知識について既にまとまっている「判例六法」に書き込みを加えるという方法も、短答合格者の中ではメジャーな気がします。
本番までどれくらい時間があるかわからないので、どれを使うかは試しにいくつかまとめて考えるのがよいかもしれません。
5.毎日問題を解く(答練や模試を活用する)
最後に、単純ですが、とにかく問題を解くことが挙げられます。その目的は、本番同様の集中力を養うことにあります。
本番は、全選択肢を検討する前提なら、科目にもよりますが1選択肢あたり20〜30秒しか考えることができません。
しかも、それを60分ないし90分集中力を保ってやることになります。
しかも、それを60分ないし90分集中力を保ってやることになります。
これはなかなかしんどいことなので、過去問でも、先ほど挙げたような問題集でもよいので、1日に何問も解く習慣をつけるのが大事だと思います。
何周かしたあとで反復しやすかったということもありますが、私自身は予備試験に合格した年は4月以降毎日最低500肢は解くようにしていました。そこまででなくとも、毎日数を決めて解くようにするべきだと思います。
また、多くの問題数をこなすことは前述の2つの対策の重要な前提にもなります。
前述の通り、過去問や問題集には無数の問題が載っており、これを全て消化するのはなかなか骨が折れることです。
定着するまで反復するとなればなおさらです。
また、どのような知識をまとめれば点数の向上に繋がるのかが的確に見えてくるまでにはどうしても多くの演習が必要になります。
このように、演習は、条文知識や判例知識の範囲・整形のために必要な前述2つの対策を実効的なものにするために、絶対に必要な行為です。
演習の素材としては、前述の過去問や問題集を解く以外には、答練や模試が挙げられます。
自学自習ではなかなか緊張感をもって時間を計って演習ができないという場合には、答練や模試はとても良い機会です。
また、過去問が一部非公開であったり、問題集が充実していない一般教養科目の対策が一部可能である点も優れています。
一方で、最低限受験生が把握しておくべき知識の範囲を画する過去問に手が回っていない状態ででも優先して解くべきものかどうかはなんとも言えません。
私は伊藤塾と辰已法律研究所の模試のみ受験し、短答答練は受講しませんでした。
とにかく、どんどん問題を解いていくのです。
また、多くの問題数をこなすことは前述の2つの対策の重要な前提にもなります。
前述の通り、過去問や問題集には無数の問題が載っており、これを全て消化するのはなかなか骨が折れることです。
定着するまで反復するとなればなおさらです。
また、どのような知識をまとめれば点数の向上に繋がるのかが的確に見えてくるまでにはどうしても多くの演習が必要になります。
このように、演習は、条文知識や判例知識の範囲・整形のために必要な前述2つの対策を実効的なものにするために、絶対に必要な行為です。
演習の素材としては、前述の過去問や問題集を解く以外には、答練や模試が挙げられます。
自学自習ではなかなか緊張感をもって時間を計って演習ができないという場合には、答練や模試はとても良い機会です。
また、過去問が一部非公開であったり、問題集が充実していない一般教養科目の対策が一部可能である点も優れています。
一方で、最低限受験生が把握しておくべき知識の範囲を画する過去問に手が回っていない状態ででも優先して解くべきものかどうかはなんとも言えません。
私は伊藤塾と辰已法律研究所の模試のみ受験し、短答答練は受講しませんでした。
とにかく、どんどん問題を解いていくのです。
6.まとめ
このように、短答対策はとても単純です。多くの受験生が取り組んでいる過去問等を誰よりも定着させ、適宜必要な観点から知識のインプットをする。
そのために、決めた教材をとにかく解く。
この繰り返しであることは、程度の差はあれ多くの合格者と共有できる感覚なのではないかな、と思います。
ごく単純な方法論なので、より優れた対策方法等があればこっそり教えてください。適宜加筆します。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
なお、対策が遅れがちな一般教養科目の対策について書いているので、参照してみてください。
http://abc-sakana.com/archives/21774199.html
PRを含みます。
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