0.コンプリート論文答練と予備スタ論の値段の比較
予備試験を受けるにあたって、論文の答案練習会(答練)の受講を検討する方が多いと思います。基礎講座を受講しているかどうかを問わず、大勢の受講生を一挙に集めて答練を行っている予備校として、伊藤塾と辰已法律研究所があります。
予備試験最終合格者のうち、答練を受講していた人の多くは、伊藤塾のコンプリート論文答練か辰已の予備試験スタンダード論文答練を受講しているようです。
論文答練の比較シリーズのうちの一記事です。
(参照: 論文答練は取るべき?比較・おすすめ(司法試験・予備試験))
今回は、この二つの答練の値段の観点から比較をしてみようと思います。
1.基本的な価格設定
どちらの答練も、通学部であれば10月頃から12月頃にかけての第1ターム、1月頃から3月頃にかけての第2タームの2期制をとっています。
伊藤塾のコンプリート論文答練(コンプリ答練)は、各タームに、論文式試験で問われる科目のうち一般教養科目を除いた9科目を、各4問ずつ解くことができます。
そのため、第1タームと第2ターム合わせて36問×2で合計72問を解くことになります。
2020年度対策であれば、第1タームと第2タームをあわせた全科目セットだと、121,900円となります。
目安として1問あたり約1,700円になります。
(参考:2020年度の講座案内 https://www.itojuku.co.jp/shiken/shihou/kouza/19A34021.html)
一方、辰已の予備試験スタンダード論文答練(予備スタ論)は、一般教養科目が各タームに2問付属します。
また、第2タームは民事系の科目が各科目6問になります。
そのため、第1タームと第2ターム合わせて合計82問を解くことになります。
2020年度対策であれば、第1タームと第2タームをあわせた通学部の全科目セットだと、207,800円となります。
目安として1問あたり約2,500円になります。
(参考:2020年度試験向けの講座案内 https://tatsumi-ws.com/items/?code=B9084H)
なお、どちらの講座も好きな科目のみ受講することができます。
セット販売の方が1問あたりの額が安くなっているため、それぞれご参照ください。
このように考えると、特に割引がない状態だとコンプリ答練が割安であるように思えます。
一方で、いずれにせよ演習書が1冊3,000円前後で買えることを考えると、どちらも割高にも思えます。
実際には、多くの受講生が奨学生制度や各種割引を利用して受講しているため、額を考える際には割引後の値段を参照することになります。
2.伊藤塾のコンプリ答練の奨学生試験制度・値引き
伊藤塾では、各種講座の期間前に、当該講座を対象とした奨学生試験が設けられています。(参考: 2020年予備試験向け特別奨学生試験 https://www.itojuku.co.jp/shiken/shihou/kouza/yobi/pg16296.html)
(なお、厳密には対象講座を含むパックが、対象講座の割引の分だけ減額、というような仕組みもあり、当該講座の受講のみにしか使えないというわけではないようです。)
講座にもよりますが、最大で受講料全額無料が予定されている回もあります。
ただ、私が予備試験受験生だったときは、3割から7割程度の割引の方が多く、受講料が全額無料になるケースはかなり少なかったように記憶しています。
その基準や割合は公表はされていないようです。
奨学生試験は、回にもよりますが、答練と同様の形式の問題を数題解き、その点数を中心にして割引率が判定されるようです。
なお、奨学生試験以外にも、模試の受講やその成績等による割引券の配布もなされることがあります。
また、予備試験論文式試験に不合格だった場合に、一定以上の順位だと割引がなされることがあるようです。
以上のように、伊藤塾での答練の割引は、原則として講座単位のものを予定していることがわかります。
つまり、奨学生試験は、コンプリ答練の受講費のみが減額されます。
今年度に関していうと、コンプリ答練自体ではありませんが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響から、論文直前答練の奨学生試験がなくなりました。
その代わりに希望者全員に40%割引クーポンが配布されることとなっています。
(参照: https://www.itojuku.co.jp/shiken/shihou/kouza/yobi/pgyobisho.html)
3.辰巳の予備スタ論等の奨学生試験制度・値引き
一方で、辰已では、例年6月頃に、全講座を対象として一定の割引がなされる奨学生を募集しています。(参照ページのリンクが切れていたため、画像で失礼します)
こちらは、論文答練である予備スタ論に限らず、あらゆる講座が一定の割合で減額されるものです。
そのため、答練以外の複数の講座を受講する場合には、とりわけお得なものになります。
試験内容は、短答・論文・アンケートからなり、それぞれの内容を考慮して割引率が決まっていました。
私の身の回りには5割・全額の奨学生が多かったように思います(そもそも、こちらは受験者がかなり少なかったため、なんとも言えませんが)。
そのため、生涯一度しか受けられないという制約はあるものの、積極的に受けてみる価値があるように思えます。
なお、奨学生による紹介制度があった年度もあるようなので、身の回りに奨学生の方がいらっしゃれば声をかけてみるのもよいでしょう。
このように、論文答練以外の講座の受講も想定した奨学生制度であることがわかります。
それ以外では、伊藤塾と同様、模試等の結果に応じた割引を行なっています。
また、他の講座とのセットでの割引もなされています。
(参照: https://www.tatsumi.co.jp/yobishiken/tokusetu/190726_yobi_waribiki/)
このような制度からも、他の講座とのセット受講が想定されていることがわかります。
なお、2020年の奨学生試験についてはまだ発表されていないようです(2020年5月3日現在)。
例年6月中旬に試験があることから、実施するとすればそのあたりでしょうが、昨今の状況下だと事情が異なるかもしれません。
4.まとめ
上記のとおり、結局のところ答練の値段は割引率に大きく依存します。そこで、まずはどちらの奨学生試験を受験してみることから始まるといえるでしょう。
特に、辰已の奨学生試験で全額免除が取れた場合(そして伊藤塾のそれより免除の可能性が高いと言われてはいます)、1年間の学習における学費の心配がかなり薄れるため、まずはこちらを受験するのが得策でしょう。
一方、こちらで思うような割引率が得られなかったとしても、伊藤塾では複数回にわたり割引のチャンスがあるため、日頃の学習の成果を試す意味でも奨学生試験を受験してみることをオススメします。
読んでくださりありがとうございました。
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