0.短答平均点・受験人数発表(速報)を受けて

2020年7月8日に、第二回伊藤塾司法試験全国統一模試の、短答部分の受験人数と平均点の速報が出ていました。
大きな傾向としては予想通りだったものの、想定以上の内容となっていたため、念の為分析(というほどのものではなくて、妄言程度のものですが)をしておくことにしました。




平均点に関する内容を含むため、未受験等で影響を受けたくないという方は、念のためご注意ください。

参考:(ネタバレなし)伊藤塾司法試験模試第2回 振り返り(メモ)











1.発表内容の概要

具体的な発表内容については、リンク先の公式発表を参照してみてください。
参照:「司法試験 全国統一模試 第2回」(短答式)受験者数と平均点【速報】


今回の速報値は、東京会場A日程で受験した人77名(うち1名は21年以降受験者、以降断りなく全体について触れる際は1名除く76名について記載)の採点結果を公表したものでした。
このうち、初受験は58名、再受験は18名となっていました。



想定以上と言ったのは、平均点が129.9点と、かなり高得点とも思える点数となっていたことです。
第一回の平均は102.8点だったことをふまえると、かなりの得点の上昇がみられます。
また、例年の司法試験の短答の全体の平均点が115点前後で推移していることを考えても、高めの数字です。
どのように考えればよいでしょうか。

2.原因の簡単な分析

結論としては、いずれも母数が少ないため、適切な検討はできない、というところに落ち着きそうですが、原因として考えられるのは、次のようなところでしょうか。

  1. 司法試験の延期により、短答の勉強期間が伸びたことで、受験生全体について、短答の実力が上がっている。
  2. 受験生全体のうち、相対的に短答の点数が高い者が受験をしていたため、点数が高く出ている。
  3. 問題がそうとう簡単だった。

まず、1.の受験生全体の実力が上がっている、という点については、受験者4000人強の傾向を語るのにわずか76人のサンプルはあまりに少ないため、検証しがたいように思います。
とはいえ、一番懸念すべきことは、受験生全体のレベルが上がったことで、短答の足切りラインが上昇することのような、合否に直結しうる点でしょう。
そのため、これから集計対象の人数が増えてきた際に、また注意して見ていきたいと考えました。




次に、2.の受験層の偏りの点があります。
私自身としては、これが大きい要因なのではないかと考えています。
具体的には、
  • 複数回受験の受験者が極端に少ない。
  • 新卒の未修の平均点がかなり高い。
のような点を捉えて、このように考えました。



まず、現状として、司法試験の合格者を、新卒/複数回受験者、未修/既修で4つに分けた際、大きく分けて次のような傾向があるといえます。
  • 新卒受験者の合格率が相対的に高い。
  • 未修受験者の合格率は相対的に低い。
(参考:令和元年司法試験の結果 及び元データである令和元年司法試験法科大学院等別合格者数等)

そのため、やや雑な議論にはなりますが、新卒の割合が増えれば、相対的に平均点は高まりますし、未修の割合が高まれば、原則として、相対的に平均点が低くなります。



令和二年の司法試験の新卒受験者は多くとも1715人、複数回受験者は、少なくとも2511人です(確定していないのは、予備試験合格の資格に基づいて受験する者のうち、複数回受験者の人数が公表されていないためです)。
(参考:令和2年司法試験の実施について)
そのため、新卒:複数回の比は、おおよそ2:3になります。
その一方、今回の速報値では、おおよそ4:1となっていました。
この母集団の本番との異なりが、平均点の上昇の主要因と考えます。


現に、複数回受験者の平均点は122.4点、新卒受験者の平均点は132.3点となっています。
本来の人数比によって計算をすると、全体の平均点は126.4点となり、多少下がります。



また、以上の話によるならば、新卒未修の平均点は新卒既修の平均点を下回っていそうですが、現実には、新卒未修の平均点が上回っています
実際の合格者の属性からすると、考えづらいことではあるので、これは新卒未修の方の中でも学習が進んでいた方が受験していたものと考えるのが妥当でしょう。
そもそも、新卒未修の方は4人のみだったため、属性で語るよりは個人の資質によるところが大きく、なんともいえないところです。


このように、受験層の偏りが平均点の上昇に寄与しているものと考えます。
例年の司法試験の、短答合格者のみの短答平均点が125点強で推移していることを考えると、先ほどの修正(?)した平均点とほど近く、ある程度妥当な解釈かなあと感じています。




とはいえ、3.問題が簡単だったというのもあるものと考えます。
受験者が毎回異なることから一概に比較することは困難ですが、過去のTKC短答テストでも出ていないような平均点であるためです。
また、今回の模試の受験者全員が短答に合格することを前提に、本試験の短答合格者平均と今回の模試の平均点を比較しているのには、あまり現実的ではないのでは、とも思えるためです。




なんにせよ、妙に速報値の平均点が高かったことから直ちに焦る必要があるとまではいえないまでも、1.受験者全体の実力が上がっているということは検証できていないことから、気を抜かずに学習していくことになりそうです。
(よくあるまとめサイトのような締めになってしまいました。)

3.個人的な反省

このように大急ぎで検討(というよりは言い訳)をしているのは、憲法で全体の平均点を下回っていたためです。
(参照:(弱ネタバレ)伊藤塾全国模試第二回短答振り返り(メモ))
今後選択肢や問題ごとの正答率等が公表されてくると思うので、それらのデータを元に、反省点を真摯に受け止めていきたいところです。

4.おわりに

3月以来の模試となり、久々に他の受験生と実力を比べられる機会があり、緊迫感が高まってきました。
今後も次々に結果が発表されることになると思いますが、焦らず、ただ学ぶべきところは学んで、無事合格できるように準備を続けていきたいと思います。


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