令和二年司法試験を今日無事に受け終えることができた。
今まで興奮でいっぱいだった心が、試験を終え一気に豊かになるような感覚があって、さまざまなことを感じた。
すぐに忘れてしまいそうだから、メモをしておくことにした。


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試験を受け終えて、まずは感謝の気持ちで心がいっぱいになった。
思えば自分のためだけの資格試験のために、家族や友人など、様々な人が応援してくれていたと思う。
親や、中高時代からずっと気にかけてくれていた友人や、予備試験を本気で目指そうと思ったきっかけとなった先輩に、連絡をしてみた。
それ以外の人にもいっぱいお世話になったけれども、あとはご飯にでも誘う口実にして、ゆっくり恩返しがしたいなあと思った。


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試験会場を出たあとは、今までに感じたことがないような解放感で胸がいっぱいになった。
自分なりに目標をもって、ある程度楽しく勉強をしていたつもりだったけれど、試験会場を出てすぐに見た空を見て、勉強期間にどれだけ我慢をしていたかが分かったようだった。

帰り際に友人と偶然会って、久々のたわいない会話に気が緩んだのか、かなり声が大きくなってしまった。
労いに2杯だけビールを飲んで、それぞれ家路に着いた。


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帰りの電車の中で、少しだけ試験のことについて考えた。

試験中に「勉強不足だったなあ」「もっと勉強しておけばよかったなあ」と思ったところはあまりなくて、十分な用意ができてはいたのかなあ、と感じた。

これから先弁護士になって、様々な案件に対峙するときは、常に何らかの制約があって、100%の準備とは言いがたいままに解決を目指すことが多いのではないかと思う。
目標に向けて十二分な準備をできる機会は、そう多くないのかもしれない。
だからこそ、司法試験に向けて十全な準備ができたと胸を張れるだけの勉強ができて、本当によかった。


そのようなことを考えていると、「単線的な努力の過剰投入量で何とか目標を達成するということに過剰適応することは、持続可能性が低い」との瀧本先生の言葉を思い出した。
(https://twitter.com/ttakimoto/status/1074102348119650304)
大学を卒業して、職に就かず毎日司法試験の勉強ばかりするというのは、まさに過剰適応を目指すようなことに思える。
しかもそれが決して少数派ではないようで、これでは過剰競争の度合いを競うようなものだ。
まったく健全なことでも、有意義なことでもないのかもしれない。


それでも、いや、だからこそ、単線的な努力が結果に表れるものとしては、自分の人生の中で最後の機会かもしれない司法試験で、最大限そのような努力ができたのは、いい経験だったと思う。
司法試験模試で上位1%が取れたことも、自分が予定していた勉強計画を完遂できたことも、単に試験との関係でだけでなく、自信に繋がった感覚がある。
自分は、目標に向かい適切な努力をし、あるルールのもとで一定の結果を出せるのだ、と信じられるようになったこと。
これは、過剰適応からの卒業式である司法試験で得られる学びとしては、一定の価値があるのではないか、と感じた。


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とはいえ、試験の結果はやはり不安だ。
今さらどうすることもできないけれども、うまく書けなかったところがたくさんある。

ただ、悲観しているわけでもない。
相対評価の試験は、受験生の多数決で評価が決まるのだ、という言葉に触れ、含蓄のある言葉だなあ、と思った。
試験の出来は自分の答案だけから推し量ることのできるものではなくて、受験生全体との関係で決まってくるものだと。
それなら今くよくよしても仕方がないし、人事を尽くしたなあ、と感じる今は、1月の合格発表までゆっくり待ってみるのがよさそうだ。


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試験が終わってから、いろいろなことをしたかったはずなのだけれど、終わってみると何がしたかったか思い出せない。
試験までは毎日何かやることを決めて、それを忠実にこなす毎日で、それはそれで満足感があった。
終わってから気がつくこととして、自分にとって司法試験は単なる苦痛な出来事ではなくて、むしろ自己実現に繋がっていたのかもしれないな、ということがあった。
試験が終わった明日からも、何か勉強をしてみようかなあ。


というのはきっと勘違いにすぎなくて、明日から再現答案を書き始めれば、法律なんか見たくもなくなるのかもしれない。


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今はまだ短答の自己採点も出ていないから、自由にいろんなことが考えられて嬉しい。
また明日には短答の解答速報も出るだろうし、就活に向けESも書き始めるだろうから、また現実に引き戻されるような感覚になるのだろう。

今晩だけは、司法試験を終えたこのふわふわした気持ちに包まれたまま、目覚ましもかけないで寝てやろうと思う。








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