0.アガルートの判例百選スピード攻略講座
先日私の質問箱(https://peing.net/ja/abc_examinee)に、こんな質問が投稿されていました。私が判例百選スピード講座(アガルートアカデミーの公式ページに飛びます)を常日頃から褒めていることから、このように同講座に関連する質問が多くきます。
そこで、今回は、判例百選スピード講座の特徴について述べたのち、どのような受験生にお勧めできるかの観点を加味して、この質問箱の質問に回答してみましょう。
なお、あくまで一受講生の感想であるため、不正確な点がありえます。
アガルートの受講相談はきわめて丁寧なため、気になった点があれば受講相談をしてみるのをオススメします。
参照:受講相談
目次
1.特徴① 答案の形で判例を学ぶことができる
2.特徴② 渡辺悠人先生の答案の型を学ぶことができる
3.判例百選スピード攻略講座の使い方・オススメの人
4.質問箱への回答(論マスや重問との併用の是非)
5.おわりに
1.特徴① 答案の形で判例を学ぶことができる
最大の特徴は、判例百選の事例を、司法試験や予備試験と同様の事例問題として考えた場合、どのように答案に書くかが学べる点にあります。(サンプルの一例 刑法百選Ⅰ94)
上記リンク先にある通り、この講座では、百選掲載判例のうち論文試験との関係で重要なものについて、判例の内容を答案の形式で書き直しています。
答案の形式で書かれているということは、①問題提起②理由づけ③規範の定立④あてはめ の4要素につき盛り込まれた記述を参照できるということです。
あてはめを除く部分については、一般的な論証集にも記載がないわけではなく、判例と同種の事案についての事例問題を解けば、あてはめの方針について学べることがあるでしょう。
しかし、判例が実際にどのような事実を、どのようにあてはめに用いたかについては、予備校テキストをざっと読んだのみでは不明瞭なことも多いでしょう。
具体的に答案の形にしたこの講座の答案例を見れば、あてはめの仕方や方針が理解できることから、この点についての悩みが晴れるはずです。
また、判例自体が各要素についてどのような理解をしたといえるか、判例に明示されていないこともある理由づけや規範につき、どのような記述が望ましいか、という点について、明示的に記載がなされている点もこの講座の強みでしょう。
このように、答案の形式で判例の事案を学習することで、実際の論文試験で判例の理解を正確に記述できるようになるものと考えます。
2.特徴② 渡辺悠人先生の答案の型を学ぶことができる
また、上記の答案は、全て渡辺悠人先生が書き下ろしたものとあります。......本講座の論述例は,全て渡辺講師が書き下したものになります。一人の講師の一貫した物事の考え方や答案の書き方を学ぶことで,科目間を超えて,正しい法的思考回路や答案作成上の技法を学ぶことができます。......(判例百選スピード講座)
渡辺先生は、新司法試験に総合4位で合格する等、様々な実績を残しています。
その渡辺先生が書いた答案は、各科目で守るべき答案の型が明確に定まっているもので、法的三段論法を守りつつ、メリハリある記述をした、実績に見合うだけの素晴らしいものです。
このような優れた答案を素材に学習をすることで、判例の学習のみならず、論文試験の答案の書き方やその考え方を体得することができるように思います。
3.判例百選スピード攻略講座の使い方・オススメの人
上記のような理解から、使い方としては、次のようなものがあるでしょう。- 既に百選掲載判例の要旨を理解していることを前提に、個々の判例の理解について答案に反映できるようにするために、個々の判例の解説を聞く。
- 答案の書き方や考え方を学ぶため、全ての答案例を通読してみる。
また、講座を購入すると、講義の音声データがダウンロードできるようになるため、日頃の百選掲載判例の復習用の音源として利用するというのも手でしょう。
そこで、オススメの人としては、次のような人が挙げられるでしょう。
逆に、まだ百選掲載判例レベルの知識につきほとんどついていない場合に、初学者の初期のインプットに有用かはわかりかねます。
百選掲載判例の全てを搭載したわけではないため、これを純粋なインプット教材として用いると、多少知識の抜け漏れが生じ得るためです。
そこで、オススメの人としては、次のような人が挙げられるでしょう。
- 百選掲載判例の理解はある程度進んでいるが、うまく答案で表現ができない。
- 論文試験での答案の作成の考え方や書き方が定まらず、参考となる答案がほしい。
逆に、まだ百選掲載判例レベルの知識につきほとんどついていない場合に、初学者の初期のインプットに有用かはわかりかねます。
百選掲載判例の全てを搭載したわけではないため、これを純粋なインプット教材として用いると、多少知識の抜け漏れが生じ得るためです。
4.質問箱への回答(論マスや重問との併用の是非)
これを前提に、先ほどの質問をもう一度見てみましょう。結論としては、論マスや重問で得られていないと感じる能力が、上記の判例百選スピード講座で補えるならば、受講をすることが有用であると考えます。
そうでないのなら、受講する必要はないとも考えられます。
論マスや重問が、必ずしも判例と全く同様の事案について扱っているとはいえません。
そこで、判例の事案に対する理解を深めたいのなら、判例百選スピード講座の利用は効果的でしょう。
また、論マスや重問は、インプット教材としての性格から、本番でそのまま書いた際に最適な記述をしているかどうかはわかりかねるところです。
そこで、論文試験を含む新司法試験で高順位を得た渡辺先生の答案を読み、答案の書き方や考え方を学ぶという目的でなら、別途受講することが効果的でしょう。
一方で、単に演習素材を増やす目的のような場合には、特に別途購入しなくてもよいのかなあ、と考えます。
あくまで百選掲載判例の事案であり、演習問題としては新鮮味に欠けるものといえそうです。
また、論マスや重問も、重要判例の理解を促すために作問されている箇所があるはずで、単に演習をしたいだけなら、テーマが被っていることにつき考える必要が生じるためです。
5.おわりに
このように、大きく二つの特徴のある判例百選スピード講座。私自身かなり好きな講座で、司法試験本番も会場に持っていくほどでした。
参照:司法試験当日の持ち物リスト(メモ)
是非気に入ってくだされば幸いです。
(2020.9.2追記)科目の選び方について別記事で書きました。
判例百選スピード講座の科目の選び方(質問箱回答)
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