0.司法試験・予備試験の「現場の魔物」

先日質問箱に面白い質問がありました。

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司法試験や予備試験を受験するにあたり、本番の会場特有の緊張感や高揚感から、答案の出来が左右されることはありえそうです。
そのような影響を指して「現場の魔物」という表現がなされているものと思います。
本番で満足のいく答案を書けるよう、様々なことを予期し、準備をしていったつもりですが、それでも対応がしきれないことがありました。

そこで、今回は、あらかじめ予期していて準備をしたこと、予期できなかったことについて触れてみたいと思います。



質問箱に来ていた質問に回答しています。
私の質問箱は、以下のリンクにあるのでまたよかったら教えてください。
https://peing.net/ja/abc_examinee


参照:質問箱の利用と記事募集







1.司法試験の魔物

特に定義なく「現場の魔物」について書いていました。

魔物という表現が使われる代表例としては、甲子園の魔物が挙げられそうです。
参考:甲子園のマモノ(ニコニコ大百科より)
説明できない力によって、調子が狂うこと等により、劇的な展開となることを指すことが多いようです。



こと司法試験において、劇的な展開があるとすれば、それは多くの場合答案の崩壊を意味するでしょう。
平常時に解いたとしても問題が難しくて解けないことがあるほかにも、会場の緊張感等による影響で、うまく書けないようなことがありえるでしょう。
甲子園の魔物の用法からすれば、後半の方は、「司法試験の魔物」とでも呼ぶことができそうです。


ひとまず、司法試験本番特有の要因により、答案作成に支障が出ることを、司法試験の魔物と呼ぶこととします。
とはいえ、後述するように、本番特有の要因と言っても、その要因自体はあらかじめ想定できるもののように思います。
そのため、司法試験の魔物は、その正体がわからないというよりは、魔物がとても強いことが問題であるように思います。
まずはどのようなことが起こりうるのかについて書いた上で、対応しきれなかったことについて書いておきます。


(令和2年の司法試験においては、司法試験会場で実力を出し切れるか否かの以前に、新型コロナの感染やその濃厚接触を理由に受験が制限された方も存在するのではないかと思います。受験した身でありながらかけられる言葉はないのですが、心よりお見舞い申し上げます。)

2.あらかじめ予期していたこと

司法試験本番特有の要因として挙げられるのは、おおまかに分けると次のようなことです。
・本番ゆえの緊張
・連続での試験や移動による疲れ
・いつもの勉強場所と異なる環境


これらのことについて、次のような対策が考えられます。

・本番ゆえの緊張
頭がうまく動かず、問題文の事情や条文がうまく頭に入ってこない。
→事前に処理パターンを用意しておき、当日の負担を軽くしておく。条文も目次を利用する等して、構造を把握しておく。

令和2年の司法試験や令和元年の予備試験でいえば、憲法の答案の型はかなり綿密に用意をしていました。
また、刑訴のような判断枠組みがある程度固まっているものや、民法のように要件事実論的な発想が重要な科目についても、答案構成から機械的に答案が作成できるように用意をしていました。

ただでさえ緊張しているため、トラブルが起きるとかなり取り乱してしまいます。
そこで、たとえば忘れ物を絶対にしないように、持ち物リストを丁寧に作成したりしていました。
参考:司法試験当日の持ち物リスト(メモ)



・連続での試験や移動による疲れ
疲れから、十分な分量の答案が書けなくなったり、思考が鈍くなる。
→本番の5日間はできる限り休む。論証の確認等に当てる時間が少なくなるように、かなり数を絞ったまとめを作っておく。


試験が終わったあと、帰宅するときには毎日タクシーを利用していました(だいたい2,000円から3,000円程度で、会場近くのホテルに宿泊をすることを考えればそこまで高いとは思えなかったためです)。
また、毎晩寝るときには腕にサロンパスを貼って、疲れが残らないようにしていました。



意外と言及されないことですが、試験後にできる勉強は、体力的にも時間的にもかなり限られているため、確認する論証等を絞ったのは、相当効果的に思えました。
私は、8科目で計30ページ強に論証集をまとめ、休み時間や帰宅後は、それを中心に復習をするにとどめました。
直前に大量に詰め込むことによって調子を整えたり、気分を高めたりする方もいるとは思いますが、それはそれとして簡易な論証を用意しておくと、安心材料になりやすいかなあと感じます。



・いつもの勉強場所と異なる環境
食事、椅子や机、トイレの環境が異なり、試験前後や試験中の環境に変化がある。
→できる限り試験当日と同じ環境で慣らす。トイレについてはどのようにするか考えておく。


私は、五反田TOCが試験会場でした。
TOCは例年椅子がパイプ椅子なので、試験会場がわかった時点から、パイプ椅子を用いて勉強するようにしました。
他の試験会場でも、可能な限り再現することをオススメします。
また、私は試験当日は栄養ドリンクを服用することや、試験中手持ち無沙汰になり飲み物をたくさん飲むことがわかっていたため、試験中にお手洗いに立つことが多くありました。
これについてはもう割り切ってしまい、答案構成が終わったり、設問がひと段落したときにお手洗いに行き、気分転換することにしていました。


(毎日1本飲んでいました。効果があるかはよくわかりませんが、大学受験のときから大事なときに飲んでいるため、ルーチンのようなものです。)

令和2年の試験では、マスクの着用が必須だったため、これについても最善の対策を考えました。
息苦しくなったり暑くなったりすることが怖かったため、冷感マスクを5種類ほど買って、試してみました。
(結果的に選んだのはクラウドファンディングで購入したもので、驚異の息のしやすさと肌触りのよさがありました。)
自宅で勉強するときも毎日8時間マスクを着用し、慣らすようにしました。





このように、ある程度どのようなことが起きるかは予測ができるので、できる限り不安要素を取り除く工夫をしておくとよいのだと思います。

3.対応できなかったこと

このように、かなり考えて対策をしていたはずなのですが、それでも対応をしきれなかった箇所がありました。
具体的には、令和元年の予備論文で最後に検討した科目の民事訴訟法や、令和2年の司法試験初日の最後の科目の行政法は、頭が疲労困憊しており、問題文がさっぱり頭に入ってきませんでした。
特に、行政法は参照条文の関係がさっぱり読み取れず、かなり苦労をしました。
何もわからないので、もうお手上げです。


頭に入らない、ということが起こりうること自体は把握していたため、それなりの対応をしました。
具体的には、問いに形式的に答えてさえいれば、一応の点数が入りうるので、問題文の文言を書き写したり、ナンバリングを丁寧に振り、一応の体裁を整えました。
勉強が進んでいる人なら察する通り、これでは優れた答案とは到底いえません。
それでも、答案が完全に崩壊してしまうよりはマシなので、これでよいのです(というより、これが精一杯だったと思います)。
また、一度お手洗いにいき、自分が何に行き詰まっているのかを考える時間を取りました。


どれも対応としてはかなり不十分ですが、何か対応ができている、と感じることが、長丁場の試験で後続の試験への影響を小さくする上では重要なので、これでよいのです(二度目)。


4.おわりに

司法試験の魔物は、とにかく強い。
何が起こるかある程度予想がついているにもかかわらず、うまく行かないことが多々あります。
第一には、できる限り不安要素を取り除いておくとよいのですが、魔物と対峙してしまったときには、被害が最小限になるよう、冷静な対応をできるようにするべきです。
その方策を考える一助になっていれば幸いです。







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