0.知的財産法の勉強方法
司法試験の論文式試験では、全受験生共通の7科目の他に、8科目のうちから1科目を選んで解答する選択科目があります。私は、選択科目として知的財産法を選びました。
私が受験した年では選択人数にして3位と、根強い人気のある選択科目です。
以前から知的財産法の勉強の仕方について質問があったので、私が用いた講座や書籍について書いておきます。
後述の通り私は予備校で入門講座や過去問の解説講座を取っていたため、自分の勉強計画について触れたのち、有用そうだと思った書籍について書いてみることとします。
なお、なぜ知的財産法を選択したかについて等は機会があれば別途触れることにします。
1.知的財産法の勉強のタイムライン
予備試験に最終合格した2019年の冬学期に大学で知的財産法の授業を取っていましたが、その講義を受けていたのを除くと、だいたい以下のようなスケジュールで勉強をしていました。◎11月・12月:アガルートの知的財産法総合講義を聴く・論証集を1周する・演習書を1周読む
11月7日に予備試験の最終合格を確認したので、さっそくアガルートで知的財産法の入門講座を取ることにしました。
私が受験した年には、アガルート以外で知的財産法の満足な入門講義を見つけることができなかったので、迷うことなくアガルートの総合講義の受講を決めました。
勉強しやすく、知的財産法を選択することにしたのならまよわず受講をオススメできる入門講座だと感じました。
参考:アガルートアカデミー 知的財産法 総合講義
(視聴履歴を見返してみると、11月15日に勉強を開始していました。翌年の8月12日の受験まで、大体9ヶ月ほどの準備期間があったことになります)
論証の講義も、同じくアガルートで取りました。
最後まで同講座の論証集に勉強した内容を書き足していったので、かなり重宝しました。
参考:アガルートアカデミー 知的財産法 論証集の「使い方」
過去問を解くまえに、なにかしら問題集を挟みたかったので、演習ノートを購入しました。
難易度も適当で、初見ではちょうど解けない程度の内容だったので、毎回新しい学びがあり、きわめていい書籍だったと思います。
予備試験に合格すると、その直後の冬に様々な法律事務所が開催しているウィンターインターンに参加することができるため、12月は少しバタバタしていました。
それでも1ヶ月強でインプットをあらかた終えることができたため、よく言われるほどは分量の多い科目ではないように感じます。
◎1月・2月:アガルートの過去問解析を全問見る・辰已の選択科目集中答練を受講する
あらかたインプットを終えたため、さっそく問題を解く機会を増やし始めました。
過去問もアガルートの解説講座を利用しました。
ここまでで書いた3講座のセットがややおトクだったので、セットで購入していたのですが、これもよい講座でした。
参考:アガルートアカデミー 知的財産法 過去問解析講座
過去問は、他にあまり何度も繰り返す用の教材が用意できなかったことから、伊藤塾の問題研究やアガルートの重問のように、何度も答案構成をするための教材として用いることにしていました。
答練としては、辰已の選択科目集中答練を利用しました。
他予備校でも、選択科目の答練を用意しているところはあるのですが、レギュラーの答練に付随して2回分だけ、のような講座が多く、満足できる演習を積むことができないように思えました。
その点、選択科目集中答練は計8回あり、レギュラーの論文答練であるスタ論の2回とあわせて10回の演習の機会を積むことができることから、選択科目に自信がつけられるものと思い、受講しました。
このような状況は他の選択科目についても同様のようで、選択科目集中答練は全科目につき用意されているため、受講を検討するのがオススメです。
参考:辰已法律研究所 選択科目集中答練
3月からの模試に向け、順調に練習ができたように思います。
◎3月以降:論証の聞き込み・答練と演習ノートの復習・過去問の周回
2月までの学習であらかた基礎が完成したため、あとは精度を高めるための学習に徹しました。
具体的には、論証の聞き込みと、すでに解いた問題を何度か解くことにしました。
上述の論証集の「使い方」講座は、受講すると音声データがダウンロードできるため、移動中や休憩中などに永遠に聞いていました。
本番も講師の丸野先生の声が呼び起こされ、そのまま答案に書くことができた箇所もありました。
このように、かなり早期にあらかた対策が終わったため、負担感が少ない科目だったように感じます。
◎8月:上記に加え、気になる点の基本書での確認
直前期には、今まであまりわからないままスルーしていた内容について、1日1トピックをめどに基本書で確認することにしていました。
あまりヤマを張る行為は好きではありませんでしたが、不安なトピックが減っていくというのは安心感に繋がり、悪くない対策だったように思います。
この確認の以前から辞書のように使っていた基本書として、小泉先生のものがありました。
他にも様々な基本書がありましたが、身の回りの受験生も愛用しており自分もかなり有用だと感じていたため、オススメです。
2.成績の推移
このように書いてくると順調に勉強ができていたように見えますが、いかんせんスタートが遅いのでキャッチアップは大変でした。2月:TKC第1回模試
(上から点数、偏差値、順位、ランク、全体人数、平均点)
968位/1,695人
最初は平均点を下回るような有様でした。
お世辞にも順調とはいえない状態です。
なお、全て知財以外の選択科目も含めての順位です。
3月:辰已第1回模試
(上から点数、得点割合、偏差値、順位、全体人数、ランク)
33位/384人
扱っていた教材の復習を終え、他の受験生に遅れを取らないくらいになってきます。
7月:伊藤塾第2回模試
(上から点数、偏差値、順位、ランク、全体人数、平均点)
40位/596人
一度ある程度完成してからは、他科目の対策に力を入れていたのですが、それでもある程度の順位をキープできました。
条文による解決をする問題が多い知的財産法だからこそ、ある程度時間をおいても、実力が大きく落ちることなくキープできました。
このように、最初は学習開始が早くなくとも、ある程度早期にすでに学習を進めていた人にキャッチアップできる科目であるように感じました。
3.予備校講座を取らない場合のオススメの参考書
私は学習段階で予備校講座を取っていたため、予備校講座を取らない場合に利用できそうな参考書についても触れておきます。◎入門書
そもそも知的財産法を選択するかどうか迷っているときや、学習初期には、初学者が読むことも想定している入門書を読むことがオススメです。
なお、N様のブログで同趣旨のわかりやすい記事があるため、リンクを貼っておきます。
参考:知的財産法の基本書、演習書等と使用法
同記事でも触れられていますが、有斐閣ストゥディアシリーズはかなりオススメです。
通読しやすい薄さでありながら、司法試験で出題のメインとなる法律論にも一部踏み込んでおり、選択科目としたときのイメージがわかりやすいように思います。
また、個人的には茶園先生の本もオススメです。
いずれも改正対応がイマイチですが、全体像を掴むのには十分でしょう。
◎インプット教材・基本書
上述した小泉先生の基本書が個人的にはオススメです。
というより、ある程度改正を追っているもので受験生が利用する書籍としては他にあまり候補がないような気がします。
◎論証集
市販のものとしては、辰已が出している1冊だけで知的財産法くらいでしょうか。
......が、かなり古く、わざわざこちらを購入する理由は特にないように思います。
少し値が張ってもアガルートの論証集の「使い方」を受講することを強くオススメします。
参考:アガルートアカデミー 知的財産法 論証集の「使い方」
◎演習書
上述の演習ノートのほかだと、論点解析やロジスティクス知的財産法を愛用している方をよく見ます。
いずれも網羅性がありいい書籍なのですが、古いため改正対応が微妙です。
個人的には演習ノートの方がオススメできるように思います。
小泉先生の基本書を利用する場合、著者が共通するため解説も共通する箇所が多く勉強しやすいです。
4.おわりに
このように、ある程度勉強方法が確立されていて(というより候補が少なくて)、そう長くない期間の勉強で実戦レベルにすることができる、いい科目です。知財を選択してくれる方が増えると嬉しいですし、その方々にこの記事が参考になっていれば幸いです。
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