0.質問箱の回答
質問箱に来ていた質問に回答しています。私の質問箱は、以下のリンクにあるのでまたよかったら教えてください。
https://peing.net/ja/abc_examinee
参照:質問箱の利用と記事募集
1.三段階審査以外の審査方法
おそらく以前の記事に対する応答だと思います。
(参照:憲法の論証集は使えないのか(質問箱回答))
このように、すでに書いた記事に関連した質問をいただけると、以前の記事で至らなかった部分について補筆する機会となるため、嬉しい限りです。
三段階審査以外の審査方法を行う代表的な場面を類型化すると、大きく分けて、立法裁量審査・行政裁量審査・利益衡量という3つに分けられると考えます。
というより、このような整理自体がいわゆる新四人組憲法で紹介されているものですし、もし時間があれば購入するなり図書館で参照するなりして、一読することを強くオススメします。
以降、ごく簡単にのみ紹介します。
2.立法裁量審査
まず、制度構築が立法者の裁量に委ねられていることから、その制度構築の(その根拠法令の)合憲性を審査するにあたり、三段階審査におけるいわゆる正当化(目的手段審査を含むが、これに限られない)の代わりに、立法裁量を審査する場面があります。具体的な人権を挙げるなら、選挙権(1人別枠方式違憲状態判決等)、生存権(学生無年金訴訟等)について、法令違憲を争うような場面が典型的でしょうか。
3.行政裁量審査
次に、行政裁量審査を行う場面で(いわゆる処分違憲の場面が多いはず)、憲法上の権利が保障されていることに着目してその審査密度を変動させるものがあります。具体的な人権を挙げるのは難しいですが、有名な判例ではエホバ剣道、君が代、老齢加算廃止あたりがあり、これら判例を復習すると行政裁量審査の理解が深まるように思います。
また、正確さには欠けると思いますが、憲法事例問題で処分違憲が問題になるのが多くの場合裁量ある者の行為を審査する場面であるため、行政裁量審査が問題にすれば解決できることが多いのではないかなあと考えています。
4.比較衡量
最後に、対立する利益を衡量する場合に、そのいずれかが優越するかを判断する、比較衡量の審査を行うことがあります。これも具体的な人権を挙げるのは難しいですが、典型的な場面としては、基本的法益(人権)と公益の衡量と、基本的法益(人権)同士の衡量の2つがあります。
前者として有名な判例としては博多駅フィルム、後者として有名な判例としては北方ジャーナルがあるでしょうか。
前述したのとは異なり、法令違憲、適用違憲、処分違憲のいずれでも問題となりうるし、さらには私人間でも問題になりうる点が特徴的であるといえそうです。
このように挙げていくと、特に近年の予備試験憲法では三段階審査でない審査方法を判例が取っていたテーマの出題が続いていることがわかり(三段階審査による解答作成を否定するわけではありませんし、エホバ的な事例だった令和元年に三段階審査的に答案を書いてAを取っていた方も知っています)、これらの審査方法について学んでおくと便利に感じることもありそうだと伝わりそうです。
PRを含みます。
↓PR↓
にほんブログ村
コメント