0.予備試験合格後の司法試験対策の勉強

予備試験に最終合格したあと、司法試験に向けてどのような勉強をしていたのか聞かれることが多いため、ざっくりまとめて置くことにしました。
2019年予備試験最終合格(2019.11.7)から2020年司法試験受験(2020.8.12)までのおよそ10ヶ月間の内容で、例年よりはかなり長めなため、その点については留意していただけると幸いです。
また、成績等は以下の通りです。
(参考:伊藤塾第二回司法試験模試 会場+在宅
(参考:司法試験の成績通知到着


スクリーンショット 2021-02-06 17.09.35
(ずっとスプレッドシートを用いて勉強の管理をしていたため、なんとなく勉強の概要が掴めました。画像のようにこまかく管理していたのは直前のみですが、それでも全体像はぼんやり再現ができます)

また、一部管理するときの記入漏れ等で、ブログの他箇所での言及と細かな内容が異なる場合があると思います。
もしお気付きの方がいらっしゃれば、是非コメント等で指摘してくださると嬉しいです。



1.全科目共通のもの(模試・答練・過去問)

私は、司法試験模試は伊藤塾のものを2回(2月末・6月末)と辰已のもの(3月末)の3回受験しました。
いずれも全日程会場で受験しました。
例年は各予備校が2~3月に1度ずつ開催しているものだと思うので、2020年度受験がイレギュラーでした。
今確認すると、伊藤塾のもの(厳密には伊藤塾と提携しているTKCのもの)の申し込みが始まっていました。
奨学生でない方はもう申し込んでしまうのも良いかもしれません。
(参考:2021年 TKC 司法試験 全国統一模試 )


全科目共通の答練としては、辰已のスタ論と伊藤塾のペースメーカー論文答練を受講しました。
スタ論は第1クールは自分で解き、第2クールは就活等で欠席することがあったものの、会場で受験しました。
伊藤塾の答練は解く予定はありませんでしたが、司法試験の延期により時間ができたので、半数近くは答案を作成しました。
いずれも、答案を作成したものについては、もう1周答案構成をすることで復習をしました。


過去問は、直近8年分は辰已の過去問答練で答案を作成・提出したほか、自分で答案構成もしたので、2周しました。
その余の年度は、ぶんせき本を用いて1周答案構成をしました。
(問題を選んでさらにもう1周答案構成するものもあったのですが、その数は定かではありません)





2.憲法

自分で『憲法判例の射程』をまとめたノート:3周
旧司法試験の過去問:2周
憲法演習ノート:1周
短答:平均して3周
新四人組憲法の気になる箇所の参照

憲法は比較的得意で、予備論文でもA評価がもらえていたため、特に重点的には対策はしていませんでした。
憲法は、予備試験受験段階から、論証集の代わりに自分で作成していたまとめノートを使って勉強しており、変わらずそれを用いました。

IMG_A1C0AC30DA1B-1
(こんな感じのもの。参照:憲法の論証集は使えないのか)
(参照:憲法判例の射程を司法試験・予備試験論文答案で活かす

憲法に限らず、旧司法試験の過去問の演習の際には、アガルートの旧司法試験解析講座を用いて、工藤先生の参考答案を参照していました。
(参考:旧司法試験 論文過去問解析講座

憲法演習ノートは、自分が受けた年に問題作成委員であった宍戸先生が編者となっており、問題意識を盗めないかと思って購入しましたが、そのような邪な気持ちとは関係なく、憲法の理解が深まり、よかったです。

短答は、民法・刑法とともに、肢別本の全ての肢を最低1周し、その確信度合いに応じて印をつけ、不安だったり間違えたりしたものをなんども解き直すようにしていました。

新四人組憲法は、主にはいわゆる三段階審査ではない審査方法について学ぶために、審査基準論に関する部分を読んでいました。



3.行政法

論証集:3周

行政法は比較的得意で、予備論文でA評価を取ったり、模試で全国1位だったりしたこともあり、あまり時間を割いていませんでした。
本番あまりうまくいかなかったので、ちょっぴり後悔しましたが、対策が急務だった選択科目に十分に時間を割くことができたので、結果的にはこれでよかったのだと思います。

4.民法

重要問題習得講座:3周
論証集:4周
総合講義:1周
短答:平均して4周
サブノート:1周
内田民法の債権法改正関連の気になる箇所の参照
改正部分の素読:1周

民法は、予備試験を旧法で、司法試験を改正法で受けるという世代だったことから、厚めに勉強をしていました。
具体的には、アガルートで改正法対策パックの内容となっていた総合講義と重要問題習得講座の受講をしました。
(参考:民法改正対策パックのご案内

民法改正による短答の難化が予想されたことから、サブノートを購入して改正の内容を掴もうとしましたが、これはあまりいい方法ではなかったかもしれません。

5.商法

旧司法試験の過去問:1周
論証集:3周
事例で考える会社法:1周
判例百選スピード攻略講座:1周
田中亘会社法の音読:1周

商法はそこまで苦手意識はなかったものの、予備論文でC評価だったため、腰を据えて対策をすることにしました。
具体的には、演習形式を通して論点を抽出する訓練・判例知識の確認・条文知識の確認をすることを考えました。
それぞれ順にジレカン・百選攻略講座・基本書通読が対応します。

事例で考える会社法は、すでに解いたことがあったため、まだ解いたことがなかった会社法事例演習教材でもよかったのですが、延期を想定しない前提での可処分時間からすれば、適切な選択だったかなあと振り返っています。
田中亘先生が執筆者の一人となっており、田中亘会社法の解説ともリンクしており、扱いやすい教材でした。

百選攻略講座は、いつもブログを読んでいただいている方にはもう耳にタコができるほど読んでいる(?)ことになっていそうです。
有用でした。
厳密には他の科目でも適宜参照していたことはあるのですが、意識的に通読する時間を設けたのは会社法
(参考:アガルートの判例百選スピード攻略講座の特徴・使い方・オススメできる人

田中亘会社法(基本書)は、別に通読する必要も音読する必要もなかったのですが、司法試験の延期によりうまく学習のモチベーションが上がらないときに、無理やり机に向かうための教材・勉強方法として採用していました。
特に学習効果が高いかはよくわかりません。
同書自体はいい本です。2021年3月に第3版が出るので購入される方は注意してください。



6.民事訴訟法

旧司法試験の過去問:3周
論証集:3周
ロープラ:1周
読解民事訴訟法:2周

予備論文でD評価だったり、苦手意識があったりしたことから、追加で読解民事訴訟法を購入して、読みました。
同書は司法試験の考査委員の勅使河原先生が執筆している参考書で、本番でも設問1、3は同書で挙げられている問題意識に関連するものだったので、きわめて直接的に効果があるものになりました。
思えば、本番の設問2も辰已模試で関連する問題が出ていたため、勉強の成果が出たというよりは情報戦で負けなかった、というような感想になりました。

7.刑法

論証集:3周
旧司法試験の過去問:2周
短答:平均して3周
刑法事例演習教材:2周
基本刑法:1周

刑法は、周りの受験生が予備論文段階で解いていることが多かったにもかかわらず、自分が解いていなかった刑法事例演習教材を用いて勉強したことが特徴的だったように思います。
きわめて有用でしたし、まだ解いていない方は、予備論文対策としても扱う価値があると感じました。

基本刑法は、主には予備口述対策として読んでいたのですが、その際に学説対立のある論点があるページに貼っていた付箋箇所を読み直すことで、近年の傾向変化に対応できるように対策をしました。
(参照:基本刑法ユーザーはなぜ多いか



8.刑事訴訟法

旧司法試験の過去問:2周
論証集:2周
事例演習刑事訴訟法の気になる箇所の参照

あまり得意である意識がなかったものの、特段の対策をしないまま臨むことになったのが刑事訴訟法でした。
司法試験での問われ方が、予備論文と大きく異ならないことがその理由ですが、見解対立問題が積極的に出題されることを見越しての対策をするのであれば、もう少し考えてもよかったな、と振り返っています。



9.選択科目(知的財産法)

これは別記事でまとめています。
(参考:司法試験の知的財産法の勉強法・予備校講座・基本書と演習書について

いい講座といい演習書に恵まれたので、とてもよい学習ができたなあと振り返っています。
選択科目に集中的に時間をわりふろうと考えての学習計画にしていましたが、実際にはそこまで大幅に時間を要することもなかったので、自分と相性のいい選択科目だったようです。ラッキーでした。





以上です。
何か気になることやおかしな点があれば教えてください。





PRを含みます。
↓クリックで応援よろしくお願いします。↓
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村