0.質問箱の回答

質問箱に来ていた質問に回答しています。
私の質問箱は、以下のリンクにあるのでまたよかったら教えてください。
https://peing.net/ja/abc_examinee


参照:質問箱の利用と記事募集

1.論文の問題の読み方・答案構成

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この二つの質問が来ていたので,私の問題文の分析・答案構成のスケジュールについて触れながら,回答してみたいと思います。
先に結論を申し上げると,細かな工夫については合格者で十人十色でしょうが,おそらく司法試験合格者の方で「問題文を2回読む必要はない」「設問を全て読んで(検討して)から解き始めるべき」ということに異論がある方はほぼいないと思うので,この結論を念頭に置きながら,読んでみてください。

2.私の論文を書く前までのスケジュール

司法試験論文の試験時間は1科目2時間,予備試験論文の試験時間は基本は1科目70分です。
私は,解答を作成するのに1ページ13~15分を要しました。
私の文字の大きさや解答の質感(?)では,司法試験論文であれば6ページ,予備試験論文であれば3ページ強書くと合格答案に十分な分量になっていました。
そこで,1科目にかけられる検討時間は,司法試験論文では1科目30~40分,予備試験論文であれば20分程度でした。
このように,(いつもこのように厳密に計算できるわけではありませんが)検討時間として許容される時間がどれほどか,まずは計算してみると良いと思います。


私は,この検討時間のうち,問題文を読むのにかけられる時間を,全体の2~3割にするとちょうどよいように感じていました。
これ以上長くしてもどうせ答案構成の度に問題文を振り返るのであまり効果がなく,これより短くすると事実誤認等に答案構成作成中に気がついてかえって時間がかかるようなことがあったためです。


そのため,私の試験時間のスケジュールは,
司法試験論文:10分弱で問題文を通読する→20分強で答案構成を作成する→90分で解答を作成する
予備試験論文:5分程度で問題文を通読する→15分程度で答案構成を作成する→(ここまでを各科目について繰り返す)→1科目50分程度で解答を作成する
というようになっていました。

3.問題文の読み方の工夫

そこそこの分量のある問題文を5分や10分で読むのは大変です。
ましてや2回も読むとなるとかなり時間がかかってしまいます。先ほどの計算から許された時間におさめるのはとても困難になります。
このような理由から,問題文を2回通読するのは,充実した記述をすることが現実的でなくなってしまうため,あまり得策ではないように思います。
2回通読してもどうせ細かな事情は読み返すことになるので,2回目の通読はあまり効果的ではないとも考えます。


そこで,1回の通読で問題文の事情をおおまかに把握することを目指すことになります。
1回だけしか読まないとなると,どうやっても事実誤認や事情の把握忘れは起こってしまうものですが,これらをできるだけ減らすために,工夫をすることは考えられます。


その工夫の一つとして,特定の要素を読み飛ばさないように印をつけながら読んでいくことがあります。
具体的には,事実誤認の温床になる要素である,いつ,誰が,何をした,という要素に着目していくのです。
細かな修飾語等は読み飛ばしても,決定的な事実誤認にはならないように思えたため,この3点をおさえておくようにしていました。


印のつけ方として,マーカーで色分けをするという方がそこそこいるように思います。
私は,ペンを持ち替えるのがおっくうだったため,赤ペンで丸や四角で囲って強調するようにしていました。


余談ですが,私は問題固有の略記(以下,「●」という。のようなもの)の定義を忘れて何度も読み返すことが多くありました。
そこで,このような略記にも強調を施していました。


また,まず設問を読んでから事案を読み始めると,それぞれの事情がどのような考慮要素に対応するのかが見えやすかったほか,どのような事情が来そうか想像しながら読むことができたため,予測可能性が高く,読みやすかったように思います。
元も子もないことを申し上げると,法律知識がついていくにつれて,この予測可能性が高まっていったため,問題文を読み進めるスピードも上がりました。
問題文を読む工夫をするのはもちろんのこと,知識のインプットも怠らずに進めると,事案の把握がうまくできるようになっていくように感じます。



4.設問・科目ごとに書くか,全体の検討を終えたのちに書くか

司法試験論文を解くにあたって,設問ごとに検討しては書き,検討しては書き,を繰り返すのは,基本的には悪手だと考えています。
前もって全体の解答のバランスについて考えなくては,それぞれの設問に得点比率が明示されている場合にはそれに対応した解答になるかが不明で,明示されていない場合には問題全体でどこで集中的に分量を書くべきかがわからないからです。
まず設問全体について検討し,おおまかな答案構成を作成した上で,一気に解答を作成していくと良いと思います。
「そこに配点が多く割り振られていたのか!」と試験後に気づいた経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが,先に全体の検討をするようにしてから,そのようなことが圧倒的に減ったため,オススメできると思います。
この点について,司法試験の合格者で異論のある方は多くないのではないかなあと思います。


質問にもあった通り,この方法を採用するまでは「途中で問題文や答案の流れを忘れてしまうのでは?」と思っていました。
が,一度真剣に検討したことは,数十分やそこらでまったくわからなくなってしまうものではありません。
そのようなことがほとんど問題にならず,試験を受けられていました。


一方,予備試験論文については,途中で科目をまたぐか否かは,賛否両論あったように思います。
ある科目を検討したあとに他の科目の検討をすると,頭の使い方が違う(?)ため,混乱してしまう,と言うような理由で反論する方がいたように思います。
私は,複数科目を1つの時間枠で解く予備試験論文でこそ,どの科目のどの設問でどれくらい時間を使いそうかをあらかじめ把握をすることが重要である,と考えていたため,全科目について答案構成を作った上で,全科目の答案を連続して作成する,というスタイルを基本にしていました。
(と言いつつも,私は合格した年の予備論文では,民事訴訟法がまったくわからなかったため,民商民訴の問題文を読む→民商の答案構成→民商の解答作成→残りの時間で民事訴訟法をなんとかする,という進め方をしました。ある程度柔軟に考えておくと良いように思います。)


検討していたことを忘れてしまうのでは?ということは,予備論文でも問題になりそうですが,私は比較的詳細な答案構成をするようにしていたので,そこまで困ることなく解答を作成できていました。
(参考:答案構成をどれくらい書く?(予備試験本番の答案構成)


このように,いろいろ考えながら,自分なりのスタイルが見つけられると良いと思います。






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