0.質問箱の回答

質問箱に来ていた質問に回答しています。
私の質問箱は、以下のリンクにあるのでまたよかったら教えてください。
https://peing.net/ja/abc_examinee


参照:質問箱の利用と記事募集

1.司法試験後に読んだ本でオススメのもの

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あまり読書家ではないので、そんなに幅広い本を読んでいるわけではありませんが、いくつか簡単に紹介します。
テーマはありませんでしたが、弁護士になるにあたって恥ずかしくないように、、、という意識で読んでいた本が多かったと思います。

2.他の選択科目に関する本

選択科目を選ぶ際に迷った他の科目について学んでみたいと思っていたほか、労働法と倒産法についてわかっていないと実務家として話にならないよ!とよく言われていたことから、大枠だけでも学んでおこうと考えていました。
(参考:なぜ司法試験・予備試験の選択科目として知的財産法を選んだか、オススメできるか


まず、私は有斐閣ストゥディアシリーズが大好きなので、有斐閣ストゥディアのものをいくつか読みました。
同シリーズは、初学者を念頭に、各法律の大枠を解説してくれるものです。

労働法と倒産法、環境法については、ストゥディアで読みました。
もちろん実務家としてやっていくためにはこれでは知識は足りないのですが、法律の仕組みがわからずリサーチの第一歩も踏み出せないというような状況は脱せたのではないかな、と信じています。




また、司法試験が終わった段階で興味があった租税法と国際私法については、多くの受験生がするような強度で勉強をしてみたいなと考えていました。
具体的には、租税法については入門用のテキストとして圧倒的に有名なスタンダード所得税法とスタンダード法人税法、演習書として演習ノート租税法を、国際私法については松岡先生の基本書を読みました。



この中だと、スタンダード所得税法が一番印象的なテキストでした。
基本的な枠組みの解説、ポイントの摘示、実例、応用論点等のバランスがあまりに素晴らしく、正直この本が面白かったたために租税法が面白いと感じていただけなのでは?と感じさせれました。


経済法と国際公法については、興味があったのにどういうわけか読み忘れていました。
司法修習中の宿題にしようかな、という気持ちになっています。

3.弁護士としての将来を考えるための本

私は企業法務に携わる弁護士として活躍することをずっと希望していたため、司法試験受験直後からすぐに就活がありました。
そこで、一般的な就活でいう本採用の面接に相当する個別訪問の前後には、企業法務弁護士のキャリアに関連する本についていくつか読んでいました。
また、ちょうど司法試験受験前後に関連する面白いテーマの本が発売されていたため、読みました。

まず、『世界を切り拓くビジネス・ローヤー -西村あさひ法律事務所の挑戦-』を推薦します。



企業法務とはなんぞや?というイメージが湧いてもいないような状況ではなかなか適切な振る舞いができないことも多いように思うので、著名な先生方の働きについて知るのは、有意義であったように思います。
四大法律事務所の一つである西村あさひ法律事務所の著名なパートナーの先生方が登場するので、同所のプログラムに参加する場合には、より面白く読めそうです。

また、最近話題になっていた良著として、『弁護士になった「その先」のこと。』と『新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講』を推薦します。



この2冊は、弁護士のキャリアについて、どのような点が問題になりうるのか、自分の疑問をかなり氷解させてくれた(または、適切な形で浮かび上がらせてくれた)書籍として、かなりオススメです。
特に後者について、大規模事務所・中小規模事務所・インハウスのそれぞれに属することを考えるにあたっての材料をたくさん得られたので、勉強になりました。

4.世の風潮や自分の疑問と向き合ってみるための本

近年の反知性主義の台頭について、どのように説明ができるのかに興味をもったため、関連する書籍を読んでいました。
厳密には司法試験前に一度読んだものを読み返したものも含まれるので、司法試験後に読んだ本と言えるのかは微妙ですが、面白かったのでシェアをします。

『大衆の反逆(岩波文庫)』『「みんなの意見」は案外正しい』『専門知は、もういらないのか』『ポストトゥルース』の4冊です。




記載の順に書かれていて、それぞれの年代の「大衆」や「専門家でない人たち」がどのように位置付けられていたのか、考察することができました。
これまでの議論の蓄積を楽しむことができ、共通するテーマについて触れながらそれぞれの書籍が示唆に富む結論を提示しており、興味深く読めました。
また、これからの世界がどのように記述されていくのかにも興味が持てる点で、面白い機会でした。
たとえば、00年代を専門家への不信の時代、10年代を専門知に対する反知性主義の台頭の時代と捉えられるのに対して、20年代が正常性への復帰の時代と語られることになるのかどうか、楽しみにしながら生きていけることになります(バイデン大統領の勝利は、そのような文脈で語られることが多くあったように思います)


自分の疑問を起点に、過去の議論についてさらってみることがこれだけ面白いのか、と気付かされる経験になったので、これからも試みようと思います。

5.経済関連の本

日頃読むようなジャンル以外の本を読むことは、幅広い知識を得られることはもちろんですが、そのほかに、異なる語り方に触れられる点でいいなあと感じました。
具体的には、司法試験の学習で用いるような基本書や参考書は、網羅性や体系を重視しており、それぞれの章で一定の内容をじゅんぐりに解説していく、というような書かれ方がしています。



一方で、アメリカの経済学者が書くHarvard Business School Pressの書籍をいくつか読むと、異なる語り口になっていることに気がつきました。
序盤で特定の問いに対して一定の結論を示した上で、それ以降は関連する問題を徹底的に論証していくというような書き方がなされています。
論文ではなく一般書でそのような書かれ方をしている本をあまり読んだことがなかったように思うので、面白く感じました。

上でリンクを貼った『イノベーションのジレンマ』は、内容にも興味を持ちました。
なぜ成功していた企業が適切な判断を積み重ねていく結果として失敗に終わるのか、という直感や文理に反するように思える事態に陥るのか、ということについて、クリアに解説がなされており、爽快な読了感がありました。





書いていて面白かったので、これからもリクエスト(?)があればたまに書いてみようと思います。






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