ABCにっき(司法試験受験ブログ)

司法試験合格を目指している受験生のブログです。令和元年度予備試験合格、令和2年度司法試験合格、現在弁護士。一部PRを含みます。

カテゴリ: 予備試験・司法試験


私の質問箱にこんな投稿がありました。

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予備試験の論文式試験の合格発表が近かったことからすると、今年の予備論文に不合格だった方の投稿なのだと思います。
私も学部4回生の時に受けた予備論文に不合格となり、全てが終わったような気持ちになったことがあるので、なんとなく投稿された方の気持ちが分かるような気がします。
だからこそ、一番受かりたかった時に予備試験に落ちたからといって、全てが終わってしまうわけではない、ということを伝えられれば、と思いました。

投稿の文面からすると、投稿された方は、「四大法律事務所かそれに類する企業法務系事務所への入所を志望しており、その入所には学部予備合格が一番の近道だと思っていたが、それが叶わなかったどころか、若年で司法試験に合格できると思っていたのに想定より時間がかかってしまいそうだ」と思っていそうです。
いくつか慰めになりそうな話を書いてみることにします。


1.「学部予備合格が就活で強い」が真だとしても、「法科大学院に行くと就活に不利」とは限らない

学部予備合格が就活で強いとされていることには争いがないと思います。
だからといって、法科大学院に進学すると(四大)就活に決定的に不利かというと、そういうわけではないはずです。

四大をはじめとする多くの企業法務系事務所はロー生向けのサマーインターンを用意しています。
ロースクールによっては、有名な企業法務系事務所からの寄附講座が提供されていて、そのカリキュラムの一環として受講生に同事務所を訪問する機会を用意していることもあります。
四大のどの事務所も毎年一定の人数のロー卒の人を採用しています。
外資企業法務系事務所の中には公式HPリクルートサイトの弁護士紹介のページで、ロー卒のアソシエイトだけを掲載しているところもあります。
予備試験合格者向けのウィンタークラークには、予備試験に合格したロー生も当然申し込むことができ、このことは予備試験合格の資格ではなくロー卒資格で司法試験を受験する場合も変わりません。

これらのことから、ロー生・ロー修了生を、あなたが志望するような事務所が採用ターゲットとしていることは明らかです。
そのため、法科大学院に進学することになったから、あなたの目標の達成が著しく困難になった、ということはないと言えると思います。
人によっては、ロー生の就活で重視されると言われているGPAを高くすることに長けている等の理由で、むしろスムーズに就活を進められることすらあるのではないかと考えます。
予備試験合格と就活の関係については、西田先生のキャリア本にも複数箇所で触れられています。
2.「学部予備合格」にこだわるなら、それも可能(予備試験浪人をするということ)

とはいえ、大学生活を通じて、私はGPAを高くするような努力にあまり向いていないな、と感じていたため、ロー生としての就活を有利に進められる気があまりしていませんでした。
(直接の理由は別にありましたが、たぶん低GPAでロー生就活をすることへの恐怖が頭の片隅にはあって)私も学部4回生の時にはロー受験をしておらず、留年をして予備試験を受けることにしました。
その時のことは別に書いているので、そちらに任せることとします。
(参照:予備試験浪人をするということ)

学部5回生で予備試験に受かったので、形式的には(形式的にだけ)学部予備合格ということになったのですが、特に留年経験について詰められることもなく、就活で不利に取り扱われたことはないように思います。
また、一番受かりたかった時の予備試験に不合格になった、という失敗体験ともうまく付き合えるようになりました。

そういうわけで、「学部予備合格」ということにこだわるのであれば、別にロー進学をしない手段も存在するので、その手段を選択することも考えられると思います。
一方で、また予備試験に不合格になってしまうリスク等々のことを考えたら、予備試験のためだけに留年をするというのは、かなり思い切りの必要な選択なようにも感じます。
「そこまでじゃないなあ」と感じるなら、気持ちを切り替えて、次の目標に向け、また努力をしていくと良いです。


3.司法試験合格時の年齢が26歳となるのはふつう

司法試験の合格年齢の平均は28歳代です。
また、司法試験の合格者で一番多い属性は、ロー既修修了後1年目合格者です。
学校に通い、試験を受けているうちに20代が半分終わってしまう、ということに一切の不安がないかと言われれば嘘になりますが、そういう試験なので、何も引け目を感じるようなことではありません。

身の回りには、もしかするともっと若くに司法試験に合格した人がいらっしゃるのかもしれないし、そういう経験談ばかりたくさん回ってくるので、「学部予備合格じゃないと遅いのではないか」という感覚に陥ってしまうこと自体は理解できます。
しかし、その感覚は実態とは少しズレているように思います。
客観的な数値としても合格年次としてはまったく遅くありません。

その一方で、学部4年生までに予備試験に合格して、四大をはじめとする名門事務所に入所することが、一般的に語られるエリート像と親和性が高いことも理解します。
特に今まで高学歴等のステータスが高いとされる属性を有していた方は、自分がそのようなエリート像から離れてしまうのではないかという恐怖を感じるのは変なことではないように思います。
しかし、学部4年までに予備試験に合格しなかったくらいで自分の経歴が完全に破綻したと思うのは気が早いように感じますし、そもそも、これを気に自分がエリート街道とされるような経歴にしがみつきたいかどうかをゆっくり考え直すことも手かもしれません。


さらに、合格時の年齢が何歳であろうが、長い目で見れば関係がないということは、修習に来てからよく分かってきました。
業界全体として、そもそもある人が何歳であるかは重視しておらず、修習期で把握しあっているため、誰が何歳で司法試験に合格したか、ということに特段注意を向けていないように思われます。
そういうわけで、仕事の成果物の出来不出来と合格時の年齢が結びつけられて語られるようなこともあまりないのではないかと感じます。

特別な理由で、合格年齢が26歳になることで困ることがあるならまだしも、そうでないのなら、現状を受け入れ、合格を目指して勉強をし、26歳に司法試験の合格発表で自分の受験番号を見られるよう努力していくのが良いのだと思います。


4.では、どうすれば良いのか

先の投稿は、「どうしたらいいのか」と結ばれていたので、どうすればよいのか考えますが、答えはシンプルだと思います。
弁護士になろうという目標が変わらないのであれば、ひとまずは来年の予備試験、再来年以降の司法試験に合格できるように勉強を継続することです。
ロー生になったからといって四大に入る目標が潰えるわけではありませんし、勉強に励んだ人を適切に評価しないような事務所群でもないように思います。

客観的にはなんらまずい状況ではないので、あとは自分の気持ちと折り合いをうまくつけられるかが大事なのだろうと思いますが、これも同じことだと思います。
予備試験への未練は、予備試験や司法試験に合格することで解消するのが手っ取り早いと思うので、来年以降の試験に向け、またゆっくり再起できると良いです。



こうは書くものの、これらのことは簡単なことでは全くないです。
私も、10月上旬に予備論文の不合格を知ってから、当時内定を頂いていた企業に内定辞退を伝えるまでの間、現実でないような気持ちになって、しばらく腑抜けになっていたと思います。
なんとか持ち直したのは、家族や友人に、自分の状況についていろいろと話して、それを聞いてもらえたからです。
その時のことを今も心から感謝していますし、うまく機序を説明できるわけではありませんが、とにかく自分の現状を言葉にして、誰かに聞いてもらうことが、困った状況の打開に有効なように感じます。
身近な人でもいいですし、そういうことを話せそうな人がいないなら、私を含む見知らぬ先輩にでも話を投げてみるといいです。


目標を達成できなかった経験は、なかなか耐え難いものですが、また頑張ろうと思える日が来ることを願っています。
応援しています。





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1.試験直前の不安について

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司法試験や予備試験短答が近づいてきており、不安になりがちな状況ですよね。
一合格者の話を読むよりも勉強に打ち込んだ方がよいと言われてしまいそうですし、私も基本的にはそう思うのですが、質問された方一人に長々とエールを送っても引かれてしまいそうなので、ブログに書くという形にしてみます。
私が受験生の立場なら、「受験前に合格者がのうのうと何を......」と思いそうなので、わざわざ書くかは迷ったのですが、ちょっとでも気が紛れるのに役立てば幸いです。






2.試験前には落ち着かなくて当然

不安を解消するような気の利いたことが言えればそれが一番よかったのかもしれませんが、私自身のことを思い出すと、平常心でいろ、と言うのは現実的ではないだろうな、と感じます。
各々の状況はあるでしょうが、少なくない時間やその他の資源を投入してきた試験が近づいている中で、緊張や不安、興奮等が盛り上がってくるのは当然のことでしょう。

それは試験前の時期だけでなく、試験本番でもそうだと思います。
平常心で受けられているつもりでも、ふとした瞬間に前に受けた科目の出来についての不安に心を支配されてしまうこともしばしばでしょう。


そのようなことから、私としては、平常心でいられる秘訣を伝えるというよりは、平常心でないことはあたり前のことなんだ、と伝えられればよいなあ、と思っています。



とはいえ、心を乱された状態でいることを認めてとにかく頑張れ、と言うのでは、あまり親切ではありません。
何か落ち着く方法を自分なりに考えてもらうのとは別に、何か助言ができそうなことがあるとすれば、最後の調整の方針に関することが挙げられるでしょうか。


試験前には、どうしても細かな知識や、今まで間違えたさまざまな内容について際限なく復習をしたくなるところです。
それ自体は間違っているとは思いませんが、何か学習の方針があるとよいのかなあ、と思います。
その際に、試験時には落ち着いていられているとは限らないことを念頭におくと、実りある学習ができるように感じます。
一例として、「試験では平常心ではないことを前提に、機械的に検討を進められる部分ができるように処理手順を見直す」というものが考えられます。

ある程度自信のある受験生でも、本番では、かなり突拍子もない上にその場ではかなりいい思いつきであるように感じてしまう(素晴らしい)思いつきに心をとらわれてしまうことが多々あるようです。
その思いつきの検討に相当な熱を注いでしまいがちですが、たいていは泥沼にハマっているだけです。
そのような不幸に見舞われないために、機械的に検討をするための処理手順(そこまでたいそうなものである必要はないと思います。自分ならいつもこう解いているな、という流れを再確認すればきっと十分です)を見直してみるとよいと思います。


このように、試験前に平常心でいられないこと自体はまったく自然で、無理に落ち着こうと焦るのではなく、そのような状態でも一定のパフォーマンスが発揮できるように一定の準備をしよう、と思い直せればよいな、と考えています。

3.試験前の思い出

いささか偉そうに話をしてしまったので、私もご多分に漏れず、平常心でいられなかった話を書いておこうと思います。
ここまでの話に増して重要ではない話なので、受験生の直前期の貴重な時間を奪うことになっていないことを願います。


予備試験(特に論文)の直前期は、緊迫感を強く感じていたことを覚えています。
私は予備試験を受けるためだけに留年をしたと言ってもよい状態にあったことから、絶対に落ちたくない、という気持ちに支配されていたと思います。
それにもかかわらず、直前の模試の結果はそこまで振るわず、どうすれば閉塞感を打開できるかを模索していたと思います。
(参考:予備試験浪人をするということ
そのようなときに思いついたのが、上記のような学習方針です。
本番もきっと完全に落ち着いた状態では受けられないだろうと考え、多くの科目について、処理手順を見直すようにしました。
これをまとめて作成したのが、直前チェック用の教材です。
(参考:試験直前チェック用の教材を用意する(司法試験・予備試験)
ここに載っている手順については、本番でも無心に進めればよい、と感じられていたおかげで、強い安心感を得られたのを覚えています。
このように書くと冷静に準備を進められていたように見えますが、予備論文前日に、地元のカフェにこもって行政法のチェック用教材をあくせく作成していたのは、今となってはよい思い出です。



逆に、司法試験の時は、かなり興奮していたことを覚えています。
模試の結果がかなり良かったこともあり、はやく司法試験を受けたいなあ、と毎日思っていました。
予備試験からの決して短くない受験時代が、司法試験の受験でついに終わるのだ、と考えると、集大成である司法試験で、満足のいく答案を書いてやるぞ、とかなり前のめりな気持ちになっていました。
司法試験が延期されていたこともあり、もちろん実施の可否や是非に関する懸念はあったものの、自分のやりたい準備は大方することができ、十分な対策もできていました。

前年に受けた予備試験とはうってかわって、満足な対策もできて、模試でも一定の成績が出せた状態となっていましたが、そのような状態にあっても、かえって平常心ではいられないことに気がつき、驚きました。
今のところは人生における重要なライフイベントである司法試験を前にして、どのような状態であれ気持ちが昂ってしまうのだなあ、という発見をしました。


そういうわけで、質問に回答すると、ちっとも平穏でいられませんでした、というのが正直なところです。
でも、それでもいいのだと思います。


このような自分の(ちっぽけな)経験を元にして、試験前に平常心でいられる人なんてあんまりいないんだぞ、と伝えられたらいいなと考えて、だらだらと書いてみました。
誰かの不安に向き合えているものであることを願いつつ、また受験生の方々を応援しつつ、今回は終わりにしようと思います。







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1.予備試験対策をするためにどこの予備校に入るか

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ご入学おめでとうございます!

もう一度予備試験の勉強をすることを考えることはなかなか気が重いのですが(笑)、自分がしてきたような勉強は一旦おいて、最近のトレンドをふまえて自分なりにゆるく考えてみようと思います。


考える前提として、質問者様や、予備試験の受験を考え始めた頃の自分と同様、大学生で、比較的勉強の時間の確保に融通がききやすい状態を想定します。
また、多くの人にとってはあまり現実的ではない前提な気もしますが、予算は無限で考えてみます。
(社会人の方や、予算の制約がある状態で考えるのは、万が一リクエストがあれば別途やってみることにします。)

さらに、大学1年生の時点で予備試験の受験を検討しているということなので、法科大学院への進学には一旦こだわらず、早期に予備試験に合格することを目標とすることを目標とします。
(簡潔にはなりますが、法科大学院への進学も視野に入れる場合も検討すると、自分ならひとまず大学の授業やサークル、バイト、その他課外活動に全力で打ち込みつつ、成績の状況次第で法曹コースで3年卒業を目指す、のような学生生活を送ることを考えると思います。)

2.予備試験の短期合格のメソッドが確立されつつあるらしい状況

自分が予備試験の受験を考え始めた頃と比べて、2021年現在の学習環境が大きく変わったな、と感じるのは、短期合格のメソッドが確立されつつあることだと思います。
具体的には、各種予備校は、特定の看板講師が短期合格を目標とした少人数クラスを受け持ったり、個別指導を行ったりすることで、それぞれが用意した短期合格のメソッドを確実に遂行させ、合格させる、というような内容の講座を出すようになっています。
周りにもそのような講座で結果を出した方が増えてきて、どうやらそのようなメソッドがあるらしいぞ、と感じるようになりました。


私が予備試験を初めて受験した2017年当時にもそのような講座はあったのでは?と思う方は、おそらく伊藤塾のゼミや特定の講師が担当しているクラスを想像しているのではないかと思います。
(参考:ついに始動!予備1年合格のための新カリキュラム~伊関講師が最短合格へ導く、そのノウハウを大公開~)
高い実績を誇り、定評のある伊藤塾の講座を、特定の講師の一貫した指導のもと受けることができる、というもので、最近でもよく合格した方の話を聞きます。


最近は、少人数による、手取り足取り指導する、特定の講師の一貫した指導、というような形での講座が、他予備校からも出されています。


個人的に最近一番ノリに乗っているな、と感じるのは、アガルートアカデミーのマネージメントオプションマネージメントオプションです。
自分の出身高校で最近流行っている(?)からそう感じるだけなのかもしれませんが、学部3年までの合格者がとにかく多いのが特徴であるように感じます。
毎回講師が異なることがありますが、アガルートの一流講師陣による個別指導を受けることができ、サポートが他の予備校と比べて圧倒的に手厚いのが特徴だと思います。
そして、個別指導の前提として視聴することになる講義も、アガルートの定評ある総合講義や重要問題習得講座等です。
このように、定評ある講義を聞きながら、その進捗を管理してもらい、一流講師による実力診断やフォローもなされることによって、予備試験の短期合格が可能となるという仕組みのようです。
もし私が再び予備試験を受けるとしたら、アガルートのマネオプを利用すると思います。
(参考:司法試験|予備試験1年合格カリキュラム|マネージメントオプション )


その他、最近話題になったものとしては、LECの田中先生のクラスが挙げられるでしょうか。
予備試験に上位合格している田中先生が全編監修しているテキストを用いた講義がなされています。
他予備校のカリスマ講師と呼ばれる先生方が、旧司出身だったりロースクール卒であったりする中、予備試験に上位合格している先生の経歴は、注目すべきものであるように感じます。
1期生から複数人の予備試験1年合格者を輩出しており、短期合格のメソッドも確立されているのでは?と感じさせられます。
(参考:予備試験 1年合格専用コース


このように、短期合格のメソッドが確立しているのでは?と思わされるようなさまざまな予備校の講座があるので、自分ならこれらの中から1つを選んで受講すると思います。

3.予備試験・司法試験に挑戦することを決心する

とはいえ、ここに挙げたような講座はいずれもかなり高額であるほか、スケジュールもかなり濃密です。
大学生活の少なくとも1年を捧げることになりうると思いますが、そのことを決心するのは簡単ではないように思います。
また、易しいとは言い難い試験の勉強の中で、モチベーションを高く保つのも、時に難しいことがあるでしょう。


そのため、まずは将来どのようになりたいのか考えてみることに時間を費やすのも悪くないと思います。
大学の講義や、その他課外活動は、自分がどのようなことに心を動かされるのかを見出すのに適している(そして、それら自体かなり豊かな経験であることが多い)ためです。
(参考:法曹志望を考えている人がやってみるとよさそうなこと)


質問者様が実りある大学生活を送られることを、願ってやみません。


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参照:質問箱の利用と記事募集


今回は、憲法・行政法関連の質問がいくつか来ていたため、まとめて回答してみたいと思います。

1.審査基準へのあてはめ

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審査基準をうまく立てるまでの論述に注目されがちですが、問題固有の事情に対応した論述をするにあたって重要なのは、むしろその先ですよね。
そのくせ、その書き方については意外と適当に教わるので、悩むのもよくわかります。


憲法論文の考え方・書き方について、定評のある本としては、小山先生の「『憲法上の権利』の作法」が挙げられるでしょうか。
いわゆる三段階審査についてを中心に、審査基準論についてが書かれているので、さまざまな悩みが解決するものと思います。



けっして易しくはないため、初学者にはオススメしづらいですが、学習が進んでいてもう一歩憲法を得意になりたい!という時にはちょうどいい参考書だと思います。

2.憲法・行政法の条文・誘導文の読み込みのタイミング

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公法系は読むものが多いので大変ですが、まずは頭から問題文を読んでいくことにして、その後に誘導文や条文を読むようにしていたと思います。
特に、行政法は、大体の年度で誘導文がついているので、迷いどころですよね。
行政法の問題文は、事案についての概要を書いた問題文、解答内容を誘導する誘導文、事案で登場する条文の3つからなります。
問題文を読まないと誘導文が読めないので、まずは問題文をざっと読み、そのあとに問題文や条文を適宜参照しながら誘導文を読むようにしていました。


どのように進めるかは、もっぱら時間制限の制約の中で決まってくるものだと思うので、以前書いた記事も合わせて参照しながら、考えてみると良いと思います。
(参考:論文の問題の読み方・答案構成のスケジュール(予備試験・司法試験))


3.公法系

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憲法については、考査委員だった宍戸先生の研究分野や著作の関係から、情報法関連か、私人間効チックな問題が出るかな、と張っていました。
具体的には、Google検索関連の最高裁判例や、その判断と関連した判断基準を用いていた表現の自由関連の判例についてが出るかな、と思っていました。
司法試験ではなく、去年の予備試験で出てしまったので、読みが外れた〜〜と思っていました。
あとは、信教の自由・財産権・生存権のような固有の審査がある分野についても、最近出題がなく、かつ自分が用意していたので、これを予想としておきます。


行政法については特にありません。
そろそろネタ切れにならないんでしょうか。





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参照:質問箱の利用と記事募集

1.論文の問題の読み方・答案構成

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この二つの質問が来ていたので,私の問題文の分析・答案構成のスケジュールについて触れながら,回答してみたいと思います。
先に結論を申し上げると,細かな工夫については合格者で十人十色でしょうが,おそらく司法試験合格者の方で「問題文を2回読む必要はない」「設問を全て読んで(検討して)から解き始めるべき」ということに異論がある方はほぼいないと思うので,この結論を念頭に置きながら,読んでみてください。

2.私の論文を書く前までのスケジュール

司法試験論文の試験時間は1科目2時間,予備試験論文の試験時間は基本は1科目70分です。
私は,解答を作成するのに1ページ13~15分を要しました。
私の文字の大きさや解答の質感(?)では,司法試験論文であれば6ページ,予備試験論文であれば3ページ強書くと合格答案に十分な分量になっていました。
そこで,1科目にかけられる検討時間は,司法試験論文では1科目30~40分,予備試験論文であれば20分程度でした。
このように,(いつもこのように厳密に計算できるわけではありませんが)検討時間として許容される時間がどれほどか,まずは計算してみると良いと思います。


私は,この検討時間のうち,問題文を読むのにかけられる時間を,全体の2~3割にするとちょうどよいように感じていました。
これ以上長くしてもどうせ答案構成の度に問題文を振り返るのであまり効果がなく,これより短くすると事実誤認等に答案構成作成中に気がついてかえって時間がかかるようなことがあったためです。


そのため,私の試験時間のスケジュールは,
司法試験論文:10分弱で問題文を通読する→20分強で答案構成を作成する→90分で解答を作成する
予備試験論文:5分程度で問題文を通読する→15分程度で答案構成を作成する→(ここまでを各科目について繰り返す)→1科目50分程度で解答を作成する
というようになっていました。

3.問題文の読み方の工夫

そこそこの分量のある問題文を5分や10分で読むのは大変です。
ましてや2回も読むとなるとかなり時間がかかってしまいます。先ほどの計算から許された時間におさめるのはとても困難になります。
このような理由から,問題文を2回通読するのは,充実した記述をすることが現実的でなくなってしまうため,あまり得策ではないように思います。
2回通読してもどうせ細かな事情は読み返すことになるので,2回目の通読はあまり効果的ではないとも考えます。


そこで,1回の通読で問題文の事情をおおまかに把握することを目指すことになります。
1回だけしか読まないとなると,どうやっても事実誤認や事情の把握忘れは起こってしまうものですが,これらをできるだけ減らすために,工夫をすることは考えられます。


その工夫の一つとして,特定の要素を読み飛ばさないように印をつけながら読んでいくことがあります。
具体的には,事実誤認の温床になる要素である,いつ,誰が,何をした,という要素に着目していくのです。
細かな修飾語等は読み飛ばしても,決定的な事実誤認にはならないように思えたため,この3点をおさえておくようにしていました。


印のつけ方として,マーカーで色分けをするという方がそこそこいるように思います。
私は,ペンを持ち替えるのがおっくうだったため,赤ペンで丸や四角で囲って強調するようにしていました。


余談ですが,私は問題固有の略記(以下,「●」という。のようなもの)の定義を忘れて何度も読み返すことが多くありました。
そこで,このような略記にも強調を施していました。


また,まず設問を読んでから事案を読み始めると,それぞれの事情がどのような考慮要素に対応するのかが見えやすかったほか,どのような事情が来そうか想像しながら読むことができたため,予測可能性が高く,読みやすかったように思います。
元も子もないことを申し上げると,法律知識がついていくにつれて,この予測可能性が高まっていったため,問題文を読み進めるスピードも上がりました。
問題文を読む工夫をするのはもちろんのこと,知識のインプットも怠らずに進めると,事案の把握がうまくできるようになっていくように感じます。



4.設問・科目ごとに書くか,全体の検討を終えたのちに書くか

司法試験論文を解くにあたって,設問ごとに検討しては書き,検討しては書き,を繰り返すのは,基本的には悪手だと考えています。
前もって全体の解答のバランスについて考えなくては,それぞれの設問に得点比率が明示されている場合にはそれに対応した解答になるかが不明で,明示されていない場合には問題全体でどこで集中的に分量を書くべきかがわからないからです。
まず設問全体について検討し,おおまかな答案構成を作成した上で,一気に解答を作成していくと良いと思います。
「そこに配点が多く割り振られていたのか!」と試験後に気づいた経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが,先に全体の検討をするようにしてから,そのようなことが圧倒的に減ったため,オススメできると思います。
この点について,司法試験の合格者で異論のある方は多くないのではないかなあと思います。


質問にもあった通り,この方法を採用するまでは「途中で問題文や答案の流れを忘れてしまうのでは?」と思っていました。
が,一度真剣に検討したことは,数十分やそこらでまったくわからなくなってしまうものではありません。
そのようなことがほとんど問題にならず,試験を受けられていました。


一方,予備試験論文については,途中で科目をまたぐか否かは,賛否両論あったように思います。
ある科目を検討したあとに他の科目の検討をすると,頭の使い方が違う(?)ため,混乱してしまう,と言うような理由で反論する方がいたように思います。
私は,複数科目を1つの時間枠で解く予備試験論文でこそ,どの科目のどの設問でどれくらい時間を使いそうかをあらかじめ把握をすることが重要である,と考えていたため,全科目について答案構成を作った上で,全科目の答案を連続して作成する,というスタイルを基本にしていました。
(と言いつつも,私は合格した年の予備論文では,民事訴訟法がまったくわからなかったため,民商民訴の問題文を読む→民商の答案構成→民商の解答作成→残りの時間で民事訴訟法をなんとかする,という進め方をしました。ある程度柔軟に考えておくと良いように思います。)


検討していたことを忘れてしまうのでは?ということは,予備論文でも問題になりそうですが,私は比較的詳細な答案構成をするようにしていたので,そこまで困ることなく解答を作成できていました。
(参考:答案構成をどれくらい書く?(予備試験本番の答案構成)


このように,いろいろ考えながら,自分なりのスタイルが見つけられると良いと思います。






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0.質問箱の回答

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参照:質問箱の利用と記事募集

1.短答対策に暗記アプリを用いる

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記事をよく見てくださっている......!
ありがとうございます。
(参考:司法試験当日の持ち物リスト(メモ)

短答対策に暗記アプリを使っていたので、少し紹介しようと思います。

2.暗記アプリを用いるに至った経緯

そもそも、短答対策に暗記アプリを用いることにしたのは、短答で正しい選択肢を選ぶには、正確で分野横断的な知識があると便利だと感じたからです。
短答対策に過去問を解いていくのは有用ですが、肢別本ベースで10,000肢近い過去問の各肢の結論を全て覚えていくのは現実的でないと考えました。
そこで、「このような知識があれば複数の選択肢の正誤が判定できる」というような知識をインプットすることにしました。


具体的には、民法短答で「〜の場合に、善良な管理者としての責任を負う。」というような選択肢があるとき、もし同選択肢が誤っているとすれば、自己の財産におけるのと同一の注意義務で足りる場合であったからでしょう。
だから、自己の財産におけるのと同一の注意義務で足りる場合が全て頭に入っていれば、この手の問題で間違えることはありません。
しかし、そのような場合に関する条文は、民法上まとまった場所には規定されていません。
それゆえ、分野ごとに問題が並んでいるような問題集を用いると、あちらこちらで同様の問われ方がされるにもかかわらず、自己の財産におけるのと同一の注意義務で足りる場合を網羅的に把握するのは困難です。
そこで、そのような場合をまとめておいて、インプットしておくことが有用だと考えました。
分野横断的な知識があると便利というのは、たとえばこういうことです。

そのほかにも、単純にいくつかの正確に覚えるべき事項がある場合にも、丸暗記は便利です。
たとえば、法定の委任の終了事由を正しく挙げられますか?
私は物覚えが悪かったので、暗記カードを用いて正確に暗記することにしました。

3.暗記アプリを使う

紙で暗記カードを作ってもよかったのですが、もともとあまり荷物を増やすのは好きではなかったので、
なんとかiPhoneやiPadで学習ができないか模索していました。
(参考:司法試験・予備試験とiPad活用術)


そこで思いついたのが、暗記カードアプリでした。
暗記アプリを用いれば、そこそこにかさばる暗記カードを持ち歩く必要がなく、iPhoneやiPadがあればどこでも勉強ができるためです。


ここでようやく本題に戻ると、このように各科目について暗記カードを作り、適宜参照するようにしていました。

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IMG_1475

問題文や解答をあまり長くしてしまうと復習の際にペースが落ちてしまうので、画像にあるような問題くらいの長さにしていました。


なお、今記事を書くために見ていてはっきりと知ったのですが、私が使っていたAnkiAppといわゆるAnkiは異なるらしいです。
また、AnkiAppの方が後に出たもので、Anki側はAnkiAppをくれぐれも利用しないでくれ、という内容のことを示していました。
(参考:AnkiApp is not part of the Anki ecosystem)


そういうわけで、normalかcloseか、という問いには答えられませんが、画像をもって疑問に答えられて入れば幸いです。


↓たぶんこちらがAnkiです、お間違えなきよう、、、







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参照:質問箱の利用と記事募集

1.オンライン実施の司法試験の受験について

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昨今の情勢により、予備校が実施する司法試験模試がオンラインで実施されることが多いように思います。
例年は、司法試験本番の会場を含む会場実施がなされていたことから、今年は例年とは異なる検討が必要にも思えます。
あらためて司法試験模試を受ける理由について整理した上で、受験するべきか、また受験するとしていかなる候補が挙げられるかについて考えてみようと思います。

2.司法試験模試を受ける理由について

司法試験模試を受ける理由としては、
  1. 受験生の中での相対的な位置が分かる
  2. 受験生がどれくらい特定の問題を処理できるのかについての相場観ができる
  3. 本番と同様の場所で試験を受けて、当日気をつけるべきことが分かる
  4. 本番と同様のタイムスケジュールで過ごすことで、当日気をつけるべきことが分かる
  5. 多くの受験生が触れている論点についての準備が不足することで、本番書き負けてしまうことを避ける
というようなことがよく言われてきたように思います。
要するに、相対評価(1,2,5)と本番の環境(3,4)の把握のために受けることが多いのではないかな、と思います。
これらの特徴を重視して複数回模試を受ける人もいれば、いずれの利点も過去問の採点実感を参照したり答練や大学の演習に参加したりすれば足りるとして模試をあまり受けない人もいるようです。
私は前者でしたが、司法試験模試は受験するだけで丸々4日間(中日も合わせれば5日間!)も時間を取られるので、後者の立場の考えもよくわかります。

3.コロナ禍での各予備校の司法試験模試等の対応

コロナ禍で司法試験模試を会場で受験することに抵抗を感じる人も少なくなさそうです。
会場ではなくオンラインで受講をする場合には、司法試験模試を受ける理由である本番の環境の把握は困難になりそうです。
そのような中、各予備校は、通信添削による対応にとどまらず、様々な対応をしているようです。


たとえば辰已法律研究所では、本番の環境に少しでも近づけるために、Zoomの活用を試みています。
全国で一斉に試験を受験することで、本番と同様の時間配分で、周りの受験生の様子を見て緊張感を味わいながら、受験ができるとするものです。

スクリーンショット 2021-02-24 20.36.31
(公式リンク:公式パンフレット 41頁)


アガルートでは、例年通り、相対評価の把握に役立つ答練を用意しています。
アガルートの司法試験型答練では、答案提出者全員の採点済み答案が見られるようになっているため、他の受験生がどの程度理解が進んでいるかが明確に把握できます。
私がいつも言及している渡辺悠人先生作成の問題解説が読めるため、その点も当然高評価です。
例年は、会場受験をする方が多かったため、あまり話題になっていなかったように思いますが、通信添削の需要が高まる今年は、注目できるものだと思います。
(公式リンク:アガルートアカデミー 司法試験型答練 )
(参考:アガルートの判例百選スピード攻略講座の特徴・使い方・オススメできる人


なお、伊藤塾(TKC)と辰已は、例年通り会場受験もやっているようです。
やはり模試を受けることのメリットは、会場受験をしてこそ最大限享受できるものと考えるため、受験にあたっては会場受験についても検討する価値があると思います。





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0.質問箱の回答

質問箱に来ていた質問に回答しています。
私の質問箱は、以下のリンクにあるのでまたよかったら教えてください。
https://peing.net/ja/abc_examinee


参照:質問箱の利用と記事募集

1.一元化教材は前日に見返せないが、どうするか?

IMG_1338

以前一元化教材を作成することについて書いていました。
(参照:論証集や判例集をどう回していたか(司法試験・予備試験))

一元化教材を作ると、今まで学んだことがまとまっているため、復習に便利です。
しかし、網羅性を意識すると、一元化教材はかなり内容が多くなってしまいます。
前掲記事でも書いたとおり、各科目1周5時間くらいが復習に必要だったように記憶しています。


これだけ時間がかかると、試験前日に全内容を見返すのは困難になってしまいます。
実際、私も直前期にバリバリ論証を見返せていたわけではなかったようです。
(参考:司法試験本番までの勉強予定(メモ) 本番2ヶ月前に書いていた勉強メモです)
そこで、工夫が必要です。
たとえば、全箇所を精読するのではなく、ぱっと見でわかるものは飛ばす、のような読み方をする、というのは一例でしょう。
とはいえ、このような方法によっても、試験前日のようなときには、目についた箇所はゆっくりと読みたくなってしまうものです。

2.試験直前チェック用の教材を別途用意しておく

そこで、試験直前にさっとチェックするために用いる教材は、別途用意することが考えられます。
自作してもいいでしょうし、市販のもので使いやすいものがあればそれを採用することもありうるでしょう。


私は、一元化教材に書いてあることは、問題を見ればぼんやりとは思い出せるくらいにはしっかり勉強をしているはずだ、との(真実かあやしい)前提のもと、比較的確実な暗記が求められる箇所のみに絞ったまとめを作成することを考えました。
具体的には、かっちりと判断枠組みが決まっているものについては、そこを間違えてしまうとおしまいなので、まとめる必要があるだろうと思っていました。


スクリーンショット 2021-02-13 16.33.48
たとえば、誰もが当然に覚えている行政法の規範のみをまとめたものです。
これくらいの分量のものを、各科目3頁ずつくらいだけ用意して、見返すようにしていました。
こうすれば、1科目にせいぜい5~10分くらいしかかからず回し切ることができます。
わざわざ勉強時間には入れていませんでしたが、答練前や本番前にさっと見返すようにしていました。



市販のもので、簡単に見返すものとしては、幾度となく紹介をしていますが、アガルートの判例百選スピード攻略講座が挙げられるように思います。
(参照:アガルートの判例百選スピード攻略講座の特徴・使い方・オススメできる人)



何か自分なりの見返す教材が用意できれば幸いです。






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0.質問箱の回答

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私の質問箱は、以下のリンクにあるのでまたよかったら教えてください。
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参照:質問箱の利用と記事募集

1.『憲法判例の射程』を用いる

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『憲法判例の射程』は、憲法の参考書として定評がありますし、私も気に入っているので、折に触れて紹介している書籍です。
一方、予備校本ではない参考書にはよくあることのように思いますが、参考書で学んだ(はずの)理解をどれだけ答案に反映できるかは、また別の問題のように感じます。
とりわけ、賛否両論がありそうなところですが、憲法の論証集は使えない、といわれるように、そもそも用意しておいた記述がそのままは活かしづらいと言われがちな憲法の参考書なので、なおさらです。
(参考:憲法の論証集は使えないのか)


以前司法試験対策の勉強のところ等でも触れたのですが、私は憲法の見返す教材として、『憲法判例の射程』をまとめたものを使っていたため、その紹介をすることで、回答に代えたいと思います。
(参考:予備試験合格後の司法試験対策の勉強
なお、私が司法試験を受験する前後で、同書の新版である第2版が出ているので、購入時は気をつけてください。
今回引用・要約する際には、特に断りがなければ初版のページ数等を示しています。

2.「憲法判例の射程」へのアプローチ方法

『憲法判例の射程』の紹介は、同書籍がとる判例の射程へのアプローチ方法に関する箇所を引用すれば足りるでしょう。

同書籍は、判例へのアプローチ方法として、メイン型、対比型、通覧型の3つを採用しています。
メイン型とは、「ある問題・論点につき、裁判所の基本的な考え方が明確に示されたと思われる主要な判例の『射程』を、それと関連する他の判例との比較・対比などを通じて明確にするとともに、『限界事例』を明らかにしていくという方法」です(同書9頁)。
対比型とは、「事案や問題構造の類似性にもかかわらず、異なった判断枠組みが用いられた判例を取り上げて、両判例を対比させながら、場合によっては別の判例への言及もしつつ、それぞれの判例が示した判断枠組みが適用される場面を明確にして、その『射程』を明らかにしていく方法」です(同書10頁)。
通覧型とは、「ある憲法上の権利ないし問題領域に関する判例を『通覧』することで、判例の考え方を浮かび上がらせるという方法」です(同書11頁)。


このように、複数の論点について、判例の状況をふまえて、3つのアプローチを用いて解説をしているのが同書籍です。

3.『憲法判例の射程』のまとめ

上記のような同書籍の特徴・アプローチ方法を捉えて、まとめていきました。
具体的には、問題の所在・参考判例の要旨・判例枠組みのまとめを1枚にしていました。

スクリーンショット 2021-02-10 20.33.44
(同書第6章 選挙権のまとめ)

このように、復習の際には、参考判例を適宜参照しながら、判例枠組みのまとめを読み、適切な判断枠組みとしてどのようなものが挙げられるかを読み返していました。
(なお、このような「判例の立場の批判的吟味やその射程の検討を経ることなくそのまま用いたりする」ようなまとめ方は、同書4頁以下で適切でないものとして触れられているものとも思えます。本書を2,3周読み、一定の理解をした上でこのようにしているのだ、ということで自分の中では落ち着けていました)


具体的には、以下のように、アプローチの手法にあわせて、意識すべき点に注意しながら、まとめていました。
メイン型については、触れられている判例がどのような論理である判断枠組みを提示しているか、違憲審査にあたってはどのような事実に触れるのが適切かをまとめることになります。
画像の選挙権のまとめ(厳密には、問題の所在にもある通り選挙権の行使の制限に関する判断枠組み)は、メイン型の例です。


対比型については、複数の判断(とも思える)枠組みからどのようにいずれかを選ぶことになるかについての考慮要素をまとめることになります。

スクリーンショット 2021-02-10 20.51.01
(同書第8章 政教分離に関する事案のまとめ)

代表的な例が、目的効果基準と総合考慮基準のいずれによって判断するかを考えるようなものです。

通覧型は、複数の、場面が少し異なる判例がある論点に関するものなので、どのような場面に分けて考えられるかに着目してまとめていました。
代表的な例として、同書第4章の、「個人の私生活上の自由」の保障に関して、情報収集・保管・発信の場面に分けて判例を整理したものがあります。

4.どのように実際の答案に活かすか

このようにまとめられたとして、実際に答案に活かすにはどのようにすればよいでしょうか。

私もあまり詰め切れなかったのですが、一つ活かす方法があると考えています。
それは適切な答案の枠組みを組み立てるための道しるべにすることです。
具体的には、『憲法判例の射程』に紹介されている35の問題意識に関しては、判例について大まかに理解できている状態になっています。(初版では29のみでした、増えた!)
同書で読んだ理解をもとに、まとめたような枠組みで判断すれば足るか、判例との事案の差から異なる枠組みにより判断することか、論ずる用意ができているということです。
少なくとも正しそうな枠組みを提示することができるし、判例との距離から適切な理由づけができれば、司法試験レベルなら通用する憲法論のできあがりです。


あまりだらだらと答案に書くのもどうかと思いつつ、私がはっきりと答案に活かした例を簡単に触れておきます。
たとえばR1予備論文憲法で、目的効果基準と総合考慮基準のいずれを用いるかについて、藤田補足意見と調査官解説について明示して論じ、その点についての評価は知りえませんが、A評価を得ることができました。
R2司法試験論文憲法では、まとめで読み、薬事法判決の文言をそのまま書いた上で、事例にあわせて規範を変えていました。
Aではあったものの、せいぜい上位5~10%くらいの答案かなあと思っています。







このように、まずは判例の枠組みについて、その内容とそれを導いた理由についてしっかり理解するための教材とするのがいいのかな、と考えています。
質問の答えになっているかは怪しいので、また適宜追加で聞いてください。








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0.予備試験合格後の司法試験対策の勉強

予備試験に最終合格したあと、司法試験に向けてどのような勉強をしていたのか聞かれることが多いため、ざっくりまとめて置くことにしました。
2019年予備試験最終合格(2019.11.7)から2020年司法試験受験(2020.8.12)までのおよそ10ヶ月間の内容で、例年よりはかなり長めなため、その点については留意していただけると幸いです。
また、成績等は以下の通りです。
(参考:伊藤塾第二回司法試験模試 会場+在宅
(参考:司法試験の成績通知到着


スクリーンショット 2021-02-06 17.09.35
(ずっとスプレッドシートを用いて勉強の管理をしていたため、なんとなく勉強の概要が掴めました。画像のようにこまかく管理していたのは直前のみですが、それでも全体像はぼんやり再現ができます)

また、一部管理するときの記入漏れ等で、ブログの他箇所での言及と細かな内容が異なる場合があると思います。
もしお気付きの方がいらっしゃれば、是非コメント等で指摘してくださると嬉しいです。



1.全科目共通のもの(模試・答練・過去問)

私は、司法試験模試は伊藤塾のものを2回(2月末・6月末)と辰已のもの(3月末)の3回受験しました。
いずれも全日程会場で受験しました。
例年は各予備校が2~3月に1度ずつ開催しているものだと思うので、2020年度受験がイレギュラーでした。
今確認すると、伊藤塾のもの(厳密には伊藤塾と提携しているTKCのもの)の申し込みが始まっていました。
奨学生でない方はもう申し込んでしまうのも良いかもしれません。
(参考:2021年 TKC 司法試験 全国統一模試 )


全科目共通の答練としては、辰已のスタ論と伊藤塾のペースメーカー論文答練を受講しました。
スタ論は第1クールは自分で解き、第2クールは就活等で欠席することがあったものの、会場で受験しました。
伊藤塾の答練は解く予定はありませんでしたが、司法試験の延期により時間ができたので、半数近くは答案を作成しました。
いずれも、答案を作成したものについては、もう1周答案構成をすることで復習をしました。


過去問は、直近8年分は辰已の過去問答練で答案を作成・提出したほか、自分で答案構成もしたので、2周しました。
その余の年度は、ぶんせき本を用いて1周答案構成をしました。
(問題を選んでさらにもう1周答案構成するものもあったのですが、その数は定かではありません)





2.憲法

自分で『憲法判例の射程』をまとめたノート:3周
旧司法試験の過去問:2周
憲法演習ノート:1周
短答:平均して3周
新四人組憲法の気になる箇所の参照

憲法は比較的得意で、予備論文でもA評価がもらえていたため、特に重点的には対策はしていませんでした。
憲法は、予備試験受験段階から、論証集の代わりに自分で作成していたまとめノートを使って勉強しており、変わらずそれを用いました。

IMG_A1C0AC30DA1B-1
(こんな感じのもの。参照:憲法の論証集は使えないのか)
(参照:憲法判例の射程を司法試験・予備試験論文答案で活かす

憲法に限らず、旧司法試験の過去問の演習の際には、アガルートの旧司法試験解析講座を用いて、工藤先生の参考答案を参照していました。
(参考:旧司法試験 論文過去問解析講座

憲法演習ノートは、自分が受けた年に問題作成委員であった宍戸先生が編者となっており、問題意識を盗めないかと思って購入しましたが、そのような邪な気持ちとは関係なく、憲法の理解が深まり、よかったです。

短答は、民法・刑法とともに、肢別本の全ての肢を最低1周し、その確信度合いに応じて印をつけ、不安だったり間違えたりしたものをなんども解き直すようにしていました。

新四人組憲法は、主にはいわゆる三段階審査ではない審査方法について学ぶために、審査基準論に関する部分を読んでいました。



3.行政法

論証集:3周

行政法は比較的得意で、予備論文でA評価を取ったり、模試で全国1位だったりしたこともあり、あまり時間を割いていませんでした。
本番あまりうまくいかなかったので、ちょっぴり後悔しましたが、対策が急務だった選択科目に十分に時間を割くことができたので、結果的にはこれでよかったのだと思います。

4.民法

重要問題習得講座:3周
論証集:4周
総合講義:1周
短答:平均して4周
サブノート:1周
内田民法の債権法改正関連の気になる箇所の参照
改正部分の素読:1周

民法は、予備試験を旧法で、司法試験を改正法で受けるという世代だったことから、厚めに勉強をしていました。
具体的には、アガルートで改正法対策パックの内容となっていた総合講義と重要問題習得講座の受講をしました。
(参考:民法改正対策パックのご案内

民法改正による短答の難化が予想されたことから、サブノートを購入して改正の内容を掴もうとしましたが、これはあまりいい方法ではなかったかもしれません。

5.商法

旧司法試験の過去問:1周
論証集:3周
事例で考える会社法:1周
判例百選スピード攻略講座:1周
田中亘会社法の音読:1周

商法はそこまで苦手意識はなかったものの、予備論文でC評価だったため、腰を据えて対策をすることにしました。
具体的には、演習形式を通して論点を抽出する訓練・判例知識の確認・条文知識の確認をすることを考えました。
それぞれ順にジレカン・百選攻略講座・基本書通読が対応します。

事例で考える会社法は、すでに解いたことがあったため、まだ解いたことがなかった会社法事例演習教材でもよかったのですが、延期を想定しない前提での可処分時間からすれば、適切な選択だったかなあと振り返っています。
田中亘先生が執筆者の一人となっており、田中亘会社法の解説ともリンクしており、扱いやすい教材でした。

百選攻略講座は、いつもブログを読んでいただいている方にはもう耳にタコができるほど読んでいる(?)ことになっていそうです。
有用でした。
厳密には他の科目でも適宜参照していたことはあるのですが、意識的に通読する時間を設けたのは会社法
(参考:アガルートの判例百選スピード攻略講座の特徴・使い方・オススメできる人

田中亘会社法(基本書)は、別に通読する必要も音読する必要もなかったのですが、司法試験の延期によりうまく学習のモチベーションが上がらないときに、無理やり机に向かうための教材・勉強方法として採用していました。
特に学習効果が高いかはよくわかりません。
同書自体はいい本です。2021年3月に第3版が出るので購入される方は注意してください。



6.民事訴訟法

旧司法試験の過去問:3周
論証集:3周
ロープラ:1周
読解民事訴訟法:2周

予備論文でD評価だったり、苦手意識があったりしたことから、追加で読解民事訴訟法を購入して、読みました。
同書は司法試験の考査委員の勅使河原先生が執筆している参考書で、本番でも設問1、3は同書で挙げられている問題意識に関連するものだったので、きわめて直接的に効果があるものになりました。
思えば、本番の設問2も辰已模試で関連する問題が出ていたため、勉強の成果が出たというよりは情報戦で負けなかった、というような感想になりました。

7.刑法

論証集:3周
旧司法試験の過去問:2周
短答:平均して3周
刑法事例演習教材:2周
基本刑法:1周

刑法は、周りの受験生が予備論文段階で解いていることが多かったにもかかわらず、自分が解いていなかった刑法事例演習教材を用いて勉強したことが特徴的だったように思います。
きわめて有用でしたし、まだ解いていない方は、予備論文対策としても扱う価値があると感じました。

基本刑法は、主には予備口述対策として読んでいたのですが、その際に学説対立のある論点があるページに貼っていた付箋箇所を読み直すことで、近年の傾向変化に対応できるように対策をしました。
(参照:基本刑法ユーザーはなぜ多いか



8.刑事訴訟法

旧司法試験の過去問:2周
論証集:2周
事例演習刑事訴訟法の気になる箇所の参照

あまり得意である意識がなかったものの、特段の対策をしないまま臨むことになったのが刑事訴訟法でした。
司法試験での問われ方が、予備論文と大きく異ならないことがその理由ですが、見解対立問題が積極的に出題されることを見越しての対策をするのであれば、もう少し考えてもよかったな、と振り返っています。



9.選択科目(知的財産法)

これは別記事でまとめています。
(参考:司法試験の知的財産法の勉強法・予備校講座・基本書と演習書について

いい講座といい演習書に恵まれたので、とてもよい学習ができたなあと振り返っています。
選択科目に集中的に時間をわりふろうと考えての学習計画にしていましたが、実際にはそこまで大幅に時間を要することもなかったので、自分と相性のいい選択科目だったようです。ラッキーでした。





以上です。
何か気になることやおかしな点があれば教えてください。





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