ABCにっき

元司法試験受験生、現在LLM準備中の者のブログです。R1予備試験、R2司法試験、弁護士。(一部PRを含みます)

カテゴリ: 雑記


私の質問箱にこんな投稿がありました。

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予備試験の論文式試験の合格発表が近かったことからすると、今年の予備論文に不合格だった方の投稿なのだと思います。
私も学部4回生の時に受けた予備論文に不合格となり、全てが終わったような気持ちになったことがあるので、なんとなく投稿された方の気持ちが分かるような気がします。
だからこそ、一番受かりたかった時に予備試験に落ちたからといって、全てが終わってしまうわけではない、ということを伝えられれば、と思いました。

投稿の文面からすると、投稿された方は、「四大法律事務所かそれに類する企業法務系事務所への入所を志望しており、その入所には学部予備合格が一番の近道だと思っていたが、それが叶わなかったどころか、若年で司法試験に合格できると思っていたのに想定より時間がかかってしまいそうだ」と思っていそうです。
いくつか慰めになりそうな話を書いてみることにします。


1.「学部予備合格が就活で強い」が真だとしても、「法科大学院に行くと就活に不利」とは限らない

学部予備合格が就活で強いとされていることには争いがないと思います。
だからといって、法科大学院に進学すると(四大)就活に決定的に不利かというと、そういうわけではないはずです。

四大をはじめとする多くの企業法務系事務所はロー生向けのサマーインターンを用意しています。
ロースクールによっては、有名な企業法務系事務所からの寄附講座が提供されていて、そのカリキュラムの一環として受講生に同事務所を訪問する機会を用意していることもあります。
四大のどの事務所も毎年一定の人数のロー卒の人を採用しています。
外資企業法務系事務所の中には公式HPリクルートサイトの弁護士紹介のページで、ロー卒のアソシエイトだけを掲載しているところもあります。
予備試験合格者向けのウィンタークラークには、予備試験に合格したロー生も当然申し込むことができ、このことは予備試験合格の資格ではなくロー卒資格で司法試験を受験する場合も変わりません。

これらのことから、ロー生・ロー修了生を、あなたが志望するような事務所が採用ターゲットとしていることは明らかです。
そのため、法科大学院に進学することになったから、あなたの目標の達成が著しく困難になった、ということはないと言えると思います。
人によっては、ロー生の就活で重視されると言われているGPAを高くすることに長けている等の理由で、むしろスムーズに就活を進められることすらあるのではないかと考えます。
予備試験合格と就活の関係については、西田先生のキャリア本にも複数箇所で触れられています。
2.「学部予備合格」にこだわるなら、それも可能(予備試験浪人をするということ)

とはいえ、大学生活を通じて、私はGPAを高くするような努力にあまり向いていないな、と感じていたため、ロー生としての就活を有利に進められる気があまりしていませんでした。
(直接の理由は別にありましたが、たぶん低GPAでロー生就活をすることへの恐怖が頭の片隅にはあって)私も学部4回生の時にはロー受験をしておらず、留年をして予備試験を受けることにしました。
その時のことは別に書いているので、そちらに任せることとします。
(参照:予備試験浪人をするということ)

学部5回生で予備試験に受かったので、形式的には(形式的にだけ)学部予備合格ということになったのですが、特に留年経験について詰められることもなく、就活で不利に取り扱われたことはないように思います。
また、一番受かりたかった時の予備試験に不合格になった、という失敗体験ともうまく付き合えるようになりました。

そういうわけで、「学部予備合格」ということにこだわるのであれば、別にロー進学をしない手段も存在するので、その手段を選択することも考えられると思います。
一方で、また予備試験に不合格になってしまうリスク等々のことを考えたら、予備試験のためだけに留年をするというのは、かなり思い切りの必要な選択なようにも感じます。
「そこまでじゃないなあ」と感じるなら、気持ちを切り替えて、次の目標に向け、また努力をしていくと良いです。


3.司法試験合格時の年齢が26歳となるのはふつう

司法試験の合格年齢の平均は28歳代です。
また、司法試験の合格者で一番多い属性は、ロー既修修了後1年目合格者です。
学校に通い、試験を受けているうちに20代が半分終わってしまう、ということに一切の不安がないかと言われれば嘘になりますが、そういう試験なので、何も引け目を感じるようなことではありません。

身の回りには、もしかするともっと若くに司法試験に合格した人がいらっしゃるのかもしれないし、そういう経験談ばかりたくさん回ってくるので、「学部予備合格じゃないと遅いのではないか」という感覚に陥ってしまうこと自体は理解できます。
しかし、その感覚は実態とは少しズレているように思います。
客観的な数値としても合格年次としてはまったく遅くありません。

その一方で、学部4年生までに予備試験に合格して、四大をはじめとする名門事務所に入所することが、一般的に語られるエリート像と親和性が高いことも理解します。
特に今まで高学歴等のステータスが高いとされる属性を有していた方は、自分がそのようなエリート像から離れてしまうのではないかという恐怖を感じるのは変なことではないように思います。
しかし、学部4年までに予備試験に合格しなかったくらいで自分の経歴が完全に破綻したと思うのは気が早いように感じますし、そもそも、これを気に自分がエリート街道とされるような経歴にしがみつきたいかどうかをゆっくり考え直すことも手かもしれません。


さらに、合格時の年齢が何歳であろうが、長い目で見れば関係がないということは、修習に来てからよく分かってきました。
業界全体として、そもそもある人が何歳であるかは重視しておらず、修習期で把握しあっているため、誰が何歳で司法試験に合格したか、ということに特段注意を向けていないように思われます。
そういうわけで、仕事の成果物の出来不出来と合格時の年齢が結びつけられて語られるようなこともあまりないのではないかと感じます。

特別な理由で、合格年齢が26歳になることで困ることがあるならまだしも、そうでないのなら、現状を受け入れ、合格を目指して勉強をし、26歳に司法試験の合格発表で自分の受験番号を見られるよう努力していくのが良いのだと思います。


4.では、どうすれば良いのか

先の投稿は、「どうしたらいいのか」と結ばれていたので、どうすればよいのか考えますが、答えはシンプルだと思います。
弁護士になろうという目標が変わらないのであれば、ひとまずは来年の予備試験、再来年以降の司法試験に合格できるように勉強を継続することです。
ロー生になったからといって四大に入る目標が潰えるわけではありませんし、勉強に励んだ人を適切に評価しないような事務所群でもないように思います。

客観的にはなんらまずい状況ではないので、あとは自分の気持ちと折り合いをうまくつけられるかが大事なのだろうと思いますが、これも同じことだと思います。
予備試験への未練は、予備試験や司法試験に合格することで解消するのが手っ取り早いと思うので、来年以降の試験に向け、またゆっくり再起できると良いです。



こうは書くものの、これらのことは簡単なことでは全くないです。
私も、10月上旬に予備論文の不合格を知ってから、当時内定を頂いていた企業に内定辞退を伝えるまでの間、現実でないような気持ちになって、しばらく腑抜けになっていたと思います。
なんとか持ち直したのは、家族や友人に、自分の状況についていろいろと話して、それを聞いてもらえたからです。
その時のことを今も心から感謝していますし、うまく機序を説明できるわけではありませんが、とにかく自分の現状を言葉にして、誰かに聞いてもらうことが、困った状況の打開に有効なように感じます。
身近な人でもいいですし、そういうことを話せそうな人がいないなら、私を含む見知らぬ先輩にでも話を投げてみるといいです。


目標を達成できなかった経験は、なかなか耐え難いものですが、また頑張ろうと思える日が来ることを願っています。
応援しています。





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1.試験直前の不安について

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司法試験や予備試験短答が近づいてきており、不安になりがちな状況ですよね。
一合格者の話を読むよりも勉強に打ち込んだ方がよいと言われてしまいそうですし、私も基本的にはそう思うのですが、質問された方一人に長々とエールを送っても引かれてしまいそうなので、ブログに書くという形にしてみます。
私が受験生の立場なら、「受験前に合格者がのうのうと何を......」と思いそうなので、わざわざ書くかは迷ったのですが、ちょっとでも気が紛れるのに役立てば幸いです。






2.試験前には落ち着かなくて当然

不安を解消するような気の利いたことが言えればそれが一番よかったのかもしれませんが、私自身のことを思い出すと、平常心でいろ、と言うのは現実的ではないだろうな、と感じます。
各々の状況はあるでしょうが、少なくない時間やその他の資源を投入してきた試験が近づいている中で、緊張や不安、興奮等が盛り上がってくるのは当然のことでしょう。

それは試験前の時期だけでなく、試験本番でもそうだと思います。
平常心で受けられているつもりでも、ふとした瞬間に前に受けた科目の出来についての不安に心を支配されてしまうこともしばしばでしょう。


そのようなことから、私としては、平常心でいられる秘訣を伝えるというよりは、平常心でないことはあたり前のことなんだ、と伝えられればよいなあ、と思っています。



とはいえ、心を乱された状態でいることを認めてとにかく頑張れ、と言うのでは、あまり親切ではありません。
何か落ち着く方法を自分なりに考えてもらうのとは別に、何か助言ができそうなことがあるとすれば、最後の調整の方針に関することが挙げられるでしょうか。


試験前には、どうしても細かな知識や、今まで間違えたさまざまな内容について際限なく復習をしたくなるところです。
それ自体は間違っているとは思いませんが、何か学習の方針があるとよいのかなあ、と思います。
その際に、試験時には落ち着いていられているとは限らないことを念頭におくと、実りある学習ができるように感じます。
一例として、「試験では平常心ではないことを前提に、機械的に検討を進められる部分ができるように処理手順を見直す」というものが考えられます。

ある程度自信のある受験生でも、本番では、かなり突拍子もない上にその場ではかなりいい思いつきであるように感じてしまう(素晴らしい)思いつきに心をとらわれてしまうことが多々あるようです。
その思いつきの検討に相当な熱を注いでしまいがちですが、たいていは泥沼にハマっているだけです。
そのような不幸に見舞われないために、機械的に検討をするための処理手順(そこまでたいそうなものである必要はないと思います。自分ならいつもこう解いているな、という流れを再確認すればきっと十分です)を見直してみるとよいと思います。


このように、試験前に平常心でいられないこと自体はまったく自然で、無理に落ち着こうと焦るのではなく、そのような状態でも一定のパフォーマンスが発揮できるように一定の準備をしよう、と思い直せればよいな、と考えています。

3.試験前の思い出

いささか偉そうに話をしてしまったので、私もご多分に漏れず、平常心でいられなかった話を書いておこうと思います。
ここまでの話に増して重要ではない話なので、受験生の直前期の貴重な時間を奪うことになっていないことを願います。


予備試験(特に論文)の直前期は、緊迫感を強く感じていたことを覚えています。
私は予備試験を受けるためだけに留年をしたと言ってもよい状態にあったことから、絶対に落ちたくない、という気持ちに支配されていたと思います。
それにもかかわらず、直前の模試の結果はそこまで振るわず、どうすれば閉塞感を打開できるかを模索していたと思います。
(参考:予備試験浪人をするということ
そのようなときに思いついたのが、上記のような学習方針です。
本番もきっと完全に落ち着いた状態では受けられないだろうと考え、多くの科目について、処理手順を見直すようにしました。
これをまとめて作成したのが、直前チェック用の教材です。
(参考:試験直前チェック用の教材を用意する(司法試験・予備試験)
ここに載っている手順については、本番でも無心に進めればよい、と感じられていたおかげで、強い安心感を得られたのを覚えています。
このように書くと冷静に準備を進められていたように見えますが、予備論文前日に、地元のカフェにこもって行政法のチェック用教材をあくせく作成していたのは、今となってはよい思い出です。



逆に、司法試験の時は、かなり興奮していたことを覚えています。
模試の結果がかなり良かったこともあり、はやく司法試験を受けたいなあ、と毎日思っていました。
予備試験からの決して短くない受験時代が、司法試験の受験でついに終わるのだ、と考えると、集大成である司法試験で、満足のいく答案を書いてやるぞ、とかなり前のめりな気持ちになっていました。
司法試験が延期されていたこともあり、もちろん実施の可否や是非に関する懸念はあったものの、自分のやりたい準備は大方することができ、十分な対策もできていました。

前年に受けた予備試験とはうってかわって、満足な対策もできて、模試でも一定の成績が出せた状態となっていましたが、そのような状態にあっても、かえって平常心ではいられないことに気がつき、驚きました。
今のところは人生における重要なライフイベントである司法試験を前にして、どのような状態であれ気持ちが昂ってしまうのだなあ、という発見をしました。


そういうわけで、質問に回答すると、ちっとも平穏でいられませんでした、というのが正直なところです。
でも、それでもいいのだと思います。


このような自分の(ちっぽけな)経験を元にして、試験前に平常心でいられる人なんてあんまりいないんだぞ、と伝えられたらいいなと考えて、だらだらと書いてみました。
誰かの不安に向き合えているものであることを願いつつ、また受験生の方々を応援しつつ、今回は終わりにしようと思います。







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0.質問箱の回答

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参照:質問箱の利用と記事募集

1.司法試験後に読んだ本でオススメのもの

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あまり読書家ではないので、そんなに幅広い本を読んでいるわけではありませんが、いくつか簡単に紹介します。
テーマはありませんでしたが、弁護士になるにあたって恥ずかしくないように、、、という意識で読んでいた本が多かったと思います。

2.他の選択科目に関する本

選択科目を選ぶ際に迷った他の科目について学んでみたいと思っていたほか、労働法と倒産法についてわかっていないと実務家として話にならないよ!とよく言われていたことから、大枠だけでも学んでおこうと考えていました。
(参考:なぜ司法試験・予備試験の選択科目として知的財産法を選んだか、オススメできるか


まず、私は有斐閣ストゥディアシリーズが大好きなので、有斐閣ストゥディアのものをいくつか読みました。
同シリーズは、初学者を念頭に、各法律の大枠を解説してくれるものです。

労働法と倒産法、環境法については、ストゥディアで読みました。
もちろん実務家としてやっていくためにはこれでは知識は足りないのですが、法律の仕組みがわからずリサーチの第一歩も踏み出せないというような状況は脱せたのではないかな、と信じています。




また、司法試験が終わった段階で興味があった租税法と国際私法については、多くの受験生がするような強度で勉強をしてみたいなと考えていました。
具体的には、租税法については入門用のテキストとして圧倒的に有名なスタンダード所得税法とスタンダード法人税法、演習書として演習ノート租税法を、国際私法については松岡先生の基本書を読みました。



この中だと、スタンダード所得税法が一番印象的なテキストでした。
基本的な枠組みの解説、ポイントの摘示、実例、応用論点等のバランスがあまりに素晴らしく、正直この本が面白かったたために租税法が面白いと感じていただけなのでは?と感じさせれました。


経済法と国際公法については、興味があったのにどういうわけか読み忘れていました。
司法修習中の宿題にしようかな、という気持ちになっています。

3.弁護士としての将来を考えるための本

私は企業法務に携わる弁護士として活躍することをずっと希望していたため、司法試験受験直後からすぐに就活がありました。
そこで、一般的な就活でいう本採用の面接に相当する個別訪問の前後には、企業法務弁護士のキャリアに関連する本についていくつか読んでいました。
また、ちょうど司法試験受験前後に関連する面白いテーマの本が発売されていたため、読みました。

まず、『世界を切り拓くビジネス・ローヤー -西村あさひ法律事務所の挑戦-』を推薦します。



企業法務とはなんぞや?というイメージが湧いてもいないような状況ではなかなか適切な振る舞いができないことも多いように思うので、著名な先生方の働きについて知るのは、有意義であったように思います。
四大法律事務所の一つである西村あさひ法律事務所の著名なパートナーの先生方が登場するので、同所のプログラムに参加する場合には、より面白く読めそうです。

また、最近話題になっていた良著として、『弁護士になった「その先」のこと。』と『新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講』を推薦します。



この2冊は、弁護士のキャリアについて、どのような点が問題になりうるのか、自分の疑問をかなり氷解させてくれた(または、適切な形で浮かび上がらせてくれた)書籍として、かなりオススメです。
特に後者について、大規模事務所・中小規模事務所・インハウスのそれぞれに属することを考えるにあたっての材料をたくさん得られたので、勉強になりました。

4.世の風潮や自分の疑問と向き合ってみるための本

近年の反知性主義の台頭について、どのように説明ができるのかに興味をもったため、関連する書籍を読んでいました。
厳密には司法試験前に一度読んだものを読み返したものも含まれるので、司法試験後に読んだ本と言えるのかは微妙ですが、面白かったのでシェアをします。

『大衆の反逆(岩波文庫)』『「みんなの意見」は案外正しい』『専門知は、もういらないのか』『ポストトゥルース』の4冊です。




記載の順に書かれていて、それぞれの年代の「大衆」や「専門家でない人たち」がどのように位置付けられていたのか、考察することができました。
これまでの議論の蓄積を楽しむことができ、共通するテーマについて触れながらそれぞれの書籍が示唆に富む結論を提示しており、興味深く読めました。
また、これからの世界がどのように記述されていくのかにも興味が持てる点で、面白い機会でした。
たとえば、00年代を専門家への不信の時代、10年代を専門知に対する反知性主義の台頭の時代と捉えられるのに対して、20年代が正常性への復帰の時代と語られることになるのかどうか、楽しみにしながら生きていけることになります(バイデン大統領の勝利は、そのような文脈で語られることが多くあったように思います)


自分の疑問を起点に、過去の議論についてさらってみることがこれだけ面白いのか、と気付かされる経験になったので、これからも試みようと思います。

5.経済関連の本

日頃読むようなジャンル以外の本を読むことは、幅広い知識を得られることはもちろんですが、そのほかに、異なる語り方に触れられる点でいいなあと感じました。
具体的には、司法試験の学習で用いるような基本書や参考書は、網羅性や体系を重視しており、それぞれの章で一定の内容をじゅんぐりに解説していく、というような書かれ方がしています。



一方で、アメリカの経済学者が書くHarvard Business School Pressの書籍をいくつか読むと、異なる語り口になっていることに気がつきました。
序盤で特定の問いに対して一定の結論を示した上で、それ以降は関連する問題を徹底的に論証していくというような書き方がなされています。
論文ではなく一般書でそのような書かれ方をしている本をあまり読んだことがなかったように思うので、面白く感じました。

上でリンクを貼った『イノベーションのジレンマ』は、内容にも興味を持ちました。
なぜ成功していた企業が適切な判断を積み重ねていく結果として失敗に終わるのか、という直感や文理に反するように思える事態に陥るのか、ということについて、クリアに解説がなされており、爽快な読了感がありました。





書いていて面白かったので、これからもリクエスト(?)があればたまに書いてみようと思います。






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0.質問箱の回答

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参照:質問箱の利用と記事募集

1.予備試験のリベンジについて

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リアクションが遅れてしまいましたが、予備試験論文式試験の合格発表がありました。
合格された方も、不本意な結果に終わった方も、まずはお疲れ様でした。


おそらくこのツイートを見てのことなのですが、予備試験のリベンジについての質問がいくつか来ていました。
私が論文に1,000位台で不合格になってから、2桁で合格するまでの勉強について、簡単に書いて、回答とすることにします。


(私も明日には司法試験の合格発表があります。明日には私も励まされる側に回っているかもしれませんので、ドキドキしながら書いています)

2.私の受験歴・予備試験浪人をするということ

大げさに書いてはいるものの、予備試験にリベンジしたときのことは、別記事で既に書いています。
基本的にはこちらを参照してもらえれば、私がどのように考えているかは分かると思います。
(参照:予備試験浪人をするということ

私自身の受験歴や学習に関することの要点に触れておくと、
・2018年(学部4年)予備論文に不合格、不合格なら就職予定でローを受験していなかったが、予備試験にリベンジするために留年することを決意
・2019年(学部4年、5回生)予備試験に最終合格
・自分の弱点は判例の規範があいまいである等、きちっと暗記すべきところが甘かった、と分析
・法的三段論法を意識した記述も微妙、答案の型を意識するようにした
のようなことについて触れています。

3.学習面において意識したこと

前述の記事でも書いたこととも重なりますが、予備論文に不合格になった理由について、以下のように分析していました。
予備論文は相対評価の試験。周りの人が書けることが書けないと、その分書き負けてしまう。
自分は、暗記すべき判例の規範や、原理原則、定義の暗記が曖昧で、その点で書き負けてしまっていたようだ。
判例の規範等の議論の出発点があやふやだと、そこから先の記述も単なる作文のようになってしまう(論述の試験だから、文章力のようなもので補えるような気持ちになっていたが、そううまくはいかない)。
このようなことを踏まえて、次回の受験まで、次のようなことを意識して学習をしてみました。
まず、受験生の相場観を掴む。みんなが理解していることは決して書き漏らさないようにする。そのために、受験生の多くが読んでいるような参考書をベースに学習をしてみる。
その上で、全員が暗記しているような規範や定義は暗記する。そうでないものはどのように導出できるかの考え方を身につける。
下振れてしまわないように、いつも同じような記述ができるようにする。具体的には、答案の型を作る。
具体的には、適宜学んだことを書き加えていった論証集を何周もする、ぶんせき本を隅々まで読む、アガルートの渡辺先生の答案の型を徹底的にパクる、あたりの方法になりました。
また、論文答練にも多く参加しました。辰巳のもの全てと、伊藤塾の直前答練に参加しました。
実際にやったこと自体はよくあることなのですが、どのような点が弱点なのか意識したことで、学習の質(?)のようなものが向上した気がしていました。
(参照:論証集をどう選ぶか・一元化教材に何を書き込むか(仮))
(参照:予備試験最終合格の一年前の状態(質問箱回答))
(参照:アガルートの判例百選スピード攻略講座の特徴・使い方・オススメできる人)


なお、答案の型については、私が予備試験合格後に、アガルートから答練の型に関する講座が出ており、これもオススメに思えました。
(参考:採点実感から読み解く合格答案の「型」習得講座 )


このような分析は、主として再現答案を元にして行うことになります。
再現答案を、身の回りの合格者の方でも、プロの講師の方でもよいので見てもらうと、自分では気が付けていなかった弱点に目が行くようになると思います。

4.学習が頭打ちになっているのではないか

ちょうど私と同様に、予備試験浪人をすることを考えている方からDMがあり、次のような内容について触れられていました。
一定程度学習歴があり、半年程度勉強をしたところで合格ラインに達するかは不透明
この悩みは、特に一定程度学習が進んでいた方こそ持ちそうなものです。
そして、こればっかりは、なんとも言えないところです。

言えることとしては、とつぜん突破口が見えた人が少なくない人数いることや、短期合格者が存在していることがあるでしょうか。
私自身、合格年の1~3月に急激に見通しがよくなった時期があり、本番の成績にも反映されました。
身の回りにも、予備論文の順位が1,000位以上上がっている人はかなり多くおり、もっとも劇的な例では1,800位から10位台まで伸びている人もいました。
このように、そう長くない期間の学習で、急に伸びるような事例自体は存在するように思います(もちろん、そうでない事例もあるでしょうし、どの程度励みになるかはわかりませんが)

さらに言えば、きわめて短期の学習で合格をしている方もいます。
そのような人は、もちろん本人の卓越した努力等が前提だとは思いますが、優れた指導者の存在や、自分に合う教材との出会いから、論文式答案が書けるようになるまでの課題をうまく解決できたのだろうと想像しています。
学習期間の長さは特に問題ではなく、うまくそのような課題をクリアできるか否かが問題なのだろうと思います。


このように考えたところで、上述のような悩みが払拭されることはないようにも思います。
ただ、私自身は、この悩みと向き合い、自分の弱点を探し、一つ一つ解決する時間を過ごしたことで、合格に近づくことができたように感じます。
頭打ちになっていると感じる方も、多くの場合は特定の解決すべき課題がある状態でしょうし、優れた指導者に出会うことや、参考書に真摯に向き合うことで、それらを氷解させることができるでしょう。
そう絶望的な状態でもないだろうと思っています。


5.おわりに

各々の状況によって程度は異なるでしょうが、不合格がわかった瞬間に感じたほど合格のハードルは高すぎないように思います。
リベンジを決心された方が、次の合格発表のときに報われていることを強く願っています。








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0.年末のご挨拶

2020年も終わります。
今年はコロナ禍で、例年とはまったく異なる大変な一年でした。
個人的には司法試験の受験もあり、そういう意味でも記憶に残る一年になりそうです。

年末なので、ブログの大掃除と今年買った司法試験教材で一番よかったものを選んでみることとしました。

1.ブログの大掃除をしました

大掃除といっても、特に過去記事をいじったりはしていません。
カテゴリがだいぶ使いづらくなっていたので、少し整理してみました。
今までは司法試験と予備試験を別カテゴリにしていたのですが、実務基礎や選択科目、一般教養の話をしない限りだいたい重なるので、区分けする必要が薄かった、のようなことがありました。
読んでいる分には特に変化はないと思うのですが、言われてみればこいつそんな話しかしてないな。と感じそうなので、カテゴリの変化を楽しんでみてください(?)

2.個人的ベストバイ

今年は、夏の司法試験受験に向けてそこそこ教材を買い足したのですが、その中にはいくつもいい教材・講座がありました。
どれか一冊を選ぶのはかなり難しいですが、一冊選ぶとしたら憲法演習ノートでしょうか。




今年の司法試験委員だった宍戸先生が編者となっている本です。
きわめて良質な演習問題が21問あり、いずれにも先生方が作成した解答(一部は司法試験の解答として真似るかはなんとも言えないものも含まれますが)がついています。
そして、各問題には、直近の重要判例を題材とした関連問題がついており、素材判例の判旨や解説を読みながら理解を深めることができます。


とりあえず三段階審査をして目的手段基準をしておけば憲法は守れる!のような風潮に、個人的には疑問を持っています。
現時点ではかなり多くの受験生の答案もそうなっているから問題にならなくとも、予備校講義や各種演習書の充実から、そう遠くない将来には、憲法の答案の要求水準は上がっていくのではないかなあと感じています。
憲法演習ノートは、そのような答案のレベルアップに確実に寄与する一冊だと感じており、ぜひ書店で手にとってほしいなあ、と感じます。
(参照:司法試験・予備試験における三段階審査以外の違憲審査の手法

3.おわりに

今年もなかなか大変な一年でした。
読んでくださりありがとうございました。
来年もたまに更新していこうと思うので、またよろしくお願いいたします。






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0.宅建を受けました

ひょんなことから、宅建を受験していました。
今年令和2年は新型コロナ対策のために受験地を分散する必要があったようで、受験者が10月試験と12月試験の2回に分けられていました。
私は12月試験に割り当てられたので、昨日(12月27日)に受験をしました。


法律系の資格で、予備試験・司法試験受験生だととっつきやすい資格だなあと感じるので、特に資格取得によるシナジーはないのですが、感想等を書いておきます。
特におすすめでもないので(?)暇つぶしをしているなあと思いながら読んでもらえるとよいです。


1.資格の概要

そもそも宅建は、不動産取引にまつわる資格で、宅建士でなければできない一部の業務があったり、宅建士の設置義務がある場合があったりする、業務独占資格 兼 必置資格です。


4肢からの選択式問題が50問あり、各1点で30~40点が合格ラインです。
そのうち民法を中心とする権利関係の問題が14問、権利制限規定が8問、宅建業法が20問、その他税等に関する問題が8問あります。

2.司法試験受験生が宅建を受験するメリット?

上記の通り、不動産取引に従事するような場合でなければ、司法試験受験生にとり宅建を受験することによるシナジー等は特にないと思います。
そのため、将来のための勉強がしたい!のような同期で勉強するには不向きなように思います。


ただ、民法短答で見覚えのある知識が14問分、都市計画法や建築基準法のように行政法で頻出の法律に関連する権利制限が8問分出るため、かなり勉強にとっかかりやすい資格だと思います。
個人的には、司法試験の勉強をする気分にはなかなかならないけれど、短期的な目標があまり見出せないときに、ちょうどよくあった資格で、ありがたいなあと感じていました。

3.自己採点と勉強内容

自己採点をアガルートとユーキャンの解答速報で行いました。
(参照:【解答速報・合格ライン予想】令和2年度(2020年)宅建試験
権利関係:12/14 権利制限:7/8 宅建業法:15/20 その他:7/8
Σ:41/50
合格ラインの予想が38点or39点のようなので、予想通りであれば合格できていそうです。
ふつうは宅建業法で満点近くを狙う勉強をするようですが、司法試験を受験していたため権利関係で点数を稼ぐことができたのがよかったなあと思います。


使用した教材はいずれも市販のものでした。
基本テキストにあたる速習テキストを民法部分以外1周+まとめ部分のみを1周(15時間程度)一問一答を2周(20時間程度)過去問を10年分(15時間程度)で計50時間程度の学習で運よく合格ラインに乗ることができました。

4.その他検討した講座・勉強素材

予備試験・司法試験の受験生は、民法に関する部分について特に追加の学習が必要だと思わないため、予備校のフルセットの講座を取る必要はないのかなあと感じました。
ただ、宅建業法の部分に関する学習は、はじめて見る業法に関する勉強なので、独学だと指針が見えづらいなあという感想がありました。
そのため、この部分についてだけ気楽に講座が見られるような見放題系の予備校(?)を利用するのはありだなあ、と感じました。
(参考:様々な資格学習が980円でウケホーダイ!【オンスク.JP】


また、あまり傾向等に慣れない面もあったため、市販の模試を利用してもよかったなあ、と感じました。
もし次回があれば模試も利用してみようと思います。......とはいえ、独学で過去問だけでも十分に対策ができるなあ、と感じました。

5.おわりに

このように、楽しく勉強ができたと思います。
8月以降、目標なくだらだらと興味のある本を読む生活を続けていたので、久々に目標が持ててよかったです。
また合格発表まではゆっくり勉強をして、待とうと思います。






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0.質問箱の回答

質問箱に来ていた質問に回答しています。
私の質問箱は、以下のリンクにあるのでまたよかったら教えてください。
https://peing.net/ja/abc_examinee


参照:質問箱の利用と記事募集

1.予備試験に合格したことで周囲の反応が変わるか

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面白い質問です。
「司法試験に合格すればモテる」のように、目の前のやる気を出すために、目標を達成すれば周囲の反応が変わることを夢想することはよくありそうです。



日頃から連絡を取っていたような身近な人は、予備試験合格が司法試験の受験資格を得ることに過ぎないことをよく理解してくれていたように思います。
周りには大学院に進んだ理系の友人が多かったため、院試に受かったようなものだと置き換えて、一つのいい区切りだとして、お祝いをしてくれました。
あくまで試験が一段落しただけ、という理解だったからか、周囲の反応が大きく変わった印象はありませんでした。



日頃あまり交流がなかったような人からは、そこそこのリアクションがありました。
小学校時代の友人が、どこで情報を得たのかわかりませんが突然連絡をくれたり、そこまで親しかった覚えのない友人とご飯を食べに行くことになったりしました。
しかし、いかんせん司法試験の受験資格を得られただけなので、特に相手方に明確なメリットが存在するわけでもないですし、特にどうということはありませんでした。



予備試験合格後に新しく出会った人はそこまで多くなく、予備試験に合格したことを理由に全くの新しい人が歩み寄ってくるようなことはありませんでした。
強いていえば、大衆酒場で飲んでいたときに話しかけられた人が法科大学院出身で、予備試験の話をしたら盛り上がって飲み代を奢ってもらったことがあったくらいでしょうか。
そのほかには、予備試験合格を要求するようなインターンに参加できるようになったくらいで、特に変化は感じませんでした。



予備試験浪人をすると決めたときにあまり理解が得られなかった人からは、その際に悪化した評価が元に戻った、というような感想を抱くことがありました。
(参考:予備試験浪人をするということ)
名の通った企業の内定を辞退して留年して予備試験を受けるという決断をしたので、なぜ法科大学院を受けないのかといった疑問や、新卒内定から留年生となったことへの認識のギャップからか、あまり親しくない人からは不思議な対応を受けることがありました。
親戚にも、うまく自分の考えや、将来の見通しについて説明することができなかったからか、心配をかけてしまっていました。
そういったあまりよくない反応がなくなったという意味では、相対的に周囲の反応がよくなったと言えるかもしれません。



少し話は逸れますが、そのような背景から、予備試験浪人をすると決めたときにも、なんら変わることなく接してくれた身の回りの人への感謝はとても大きなものになりました。
以前までと同様に仲良くしてくれた友人や、頼りに感じてくれたのか困りごとを相談してくれた友人の存在がなければ、試験を最後まで受けきることができたかよく分かりません。
そのような人たちは、予備試験に合格したと知ったときも、一緒に喜んでくれはするものの、反応が変わるようなことはありませんでした。



このように、司法試験の受験資格を得るに過ぎない予備試験の合格で周囲の反応が大きく変わることはないし、どちらかというと受験の前後を通じて変わらず親しくしてくれる人の存在が自分にとっては大事だったなあ、というように感じます。
そういうわけで、「予備試験に合格すればモテまくりで人生が順風満帆」のようなことは、少なくとも私には起こりませんでしたが、それとは別に充足感の得られる経験になった、と振り返っています。









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司法試験を終えて、就活も一段落したことで、自分の特徴について再度考えたくなってみました。
そこで、ストレングスファインダーをやってみることにしました。 
参照:クリフトンストレングスオンライン才能テスト


ストレングスファインダーは、自分の強みを知るためのテストとして、定評のあるものです。


スクリーンショット 2020-10-27 23.18.20



書籍についたクーポンコードを用いるか、上記サイトの「ストア」で購入するかのいずれかの方法で、テストが受けられます。
テストは、よくある性格診断のようなもので、2択のうちより自分に当てはまるものを選択していくものです。
テストに答えると、34の資質や行動アイデアから、自分に当てはまるものを教えてくれます。
私は、2,000円くらいの書籍を買って、それについたクーポンコードを用いて、上位5つの資質や行動アイデアを示してくれるものをやってみました。



スクリーンショット 2020-10-27 23.26.25
(画像を載せておいて何ですが、恥ずかしいので2位以下を隠してしまいました。)
するとこのように上位5つが提示されます。


自分で自覚している点や、意外な点が見つかって、勉強になりました。
勧められている職業に、目指している弁護士が挙げられていて、ちょっぴりホッとしました。


いい経験になったので、もしよければ是非やってみることをオススメします。





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0.目標を達成した後は

ありがたいことに、現代は情報の発信が異様に簡単な時代です。
SNSを少し覗けば、自分が設定している目標をすでに達成した先輩方が、たくさんの情報を発信しています。
昔なら考えづらかったことでしょうから、これはかなり恵まれたことのように思います。


一方で、誰でも簡単に発信ができるということは、今まで情報発信をしていなかった属性の人が、今まで発していなかったような内容も含めて発信をするということです。
良くも悪くも、溢れんばかりの情報が提供されるのです。
このような時代に、どのようにこれらの情報と向き合えばよいのでしょうか。



私も、予備試験に合格したことを機に積極的に情報を発信するようになりました。
また、来年初めには、司法試験合格者または不合格者になります。
目標を既に達成した人の発信が、どのような意味を持つかは、そこそこに発信をしている立場からも、無関係なものではありません。



そこで、今回は目標を既に達成した方のアドバイスと、どのように向き合うべきかを考えました。




(2020/9/5追記)
一晩で2,000人近い方のアクセスがあり、驚きました。読んでくださりありがとうございました。
内容の妥当性が不明な情報が、合理的に吟味・選択可能な量に比して過剰に発信されているため、受け手に向け、そのような情報との向き合い方についての私見を書いたものです。特定の発信者や発信行為一般を貶める趣旨ではありませんし、そのような意図での引用等は不本意である旨付記しておきます。

1.再現性があるとは限らない

まず私の立場を明らかにしておくと、私はそのようなアドバイスに従うことにはかなり慎重になるべきだと考えています。
(いろいろ偉そうに発信しておきながら、、、と思われるかもしれませんが、一応の答えをのちにまとめています。)


その第一の根拠は、往々にしてそのアドバイスに再現性があるかどうかが不明であることです。
具体的な内容として、その目標を達成した方がどの程度の確実さで目標をパスしたのかが不明であることと、どのような状況、属性の方が、どのような状態を前提にアドバイスがなされたかが不明であることが挙げられます。
これは当然私が書いているようなブログについても同様です。


まず、その目標を達成した方が、どの程度の確実さをもって目標をパスしたのかは常に不明です。
とりわけ、司法試験や予備試験のような、通常1回しか合格しない試験では、問題になりやすいところです。
実際には目標達成との関係でほとんど意味のない手法を取りながら、偶然に成功したかもしれません。
一方で、革新的な手法であり、きわめて再現度の高い手法を取っているかもしれません。
それぞれにつき目標達成と因果関係があるとの一応の理屈を与えることはできても、この二つを区別するのは現実にはかなり困難です。
そのため、安易にアドバイスを聞き入れることは、知らぬ間に泥舟に乗っていることになりうるのです。


また、仮に一定の条件下で有効なアドバイスがなされていたとしても、それが自分に妥当するものかどうかは不明瞭です。
目標達成と因果関係があるかどうかすらわからないのに、特定のアドバイスがどのような条件下でなら有効なのかを把握できることはそう多くないでしょう。
すると、必ずしも自分にとって有効ではないアドバイスを盲信することで、思ったような効果を得られないことがありえます。
自分の頭で考えていれば、もしかすると一定の解決策が導けていたかもしれないのに、です。


このように、どのアドバイスに再現性があり、従うべきかを選択するのは、決して簡単ではないことが挙げられます。

2.無責任なものも含まれる

次の根拠としては、そのようなアドバイスは必ずしも後続の挑戦者のためになされておらず、無責任なものが含まれうるということが挙げられます。


少し恥ずかしながら申し上げると、人にアドバイスをするというのは、人によるかもしれませんが、かなり気持ちがいい行為です。
助言を求める方が自分に一定の権威を感じ、自分の言葉の通りに動く。
日頃から人に影響を与える機会に恵まれていない人にとっては特に、こんなに面白いこともないでしょう。


アドバイスをする行為は、挑戦者の一助になることを願ってする行為から、自分のためにする行為になってしまう危険を常にはらみます。
発言者がきもちよくなるための発言は、その目的から、必ずしも後続の方のために有益なものとは限らず、注目を集めやすいもの(いわゆる炎上商法的な発言)や、信じる側が信じたくなるような言説(簡単に痩せられるといった甘言)に偏る可能性があります。
このような発言に従うことが、自分の身になるかどうかはかなり怪しいところです。


せめて発言者がそれらの発言に責任を持ってくれれば、多少マシなこともあります。
例えば、その内容が明らかに支離滅裂であれば、継続して金銭を得られない可能性がある月額制の講義を考えてみるとよいでしょう。
(もっとも、一定の会員であることに特権意識を持たせ、継続的な契約を誘引するようなモデルもあるでしょう。そのような場合には、内容の正確性が担保されるとは言いがたいでしょうし、金銭が絡めば大丈夫という趣旨ではありません)
また、発言の真実性を担保するための裏付けが多く用意されているような場合にも、その内容を信じてよい可能性が高まるかもしれません。


このように、アドバイスの形式であるからといって、後続の方のためであるかどうかは不明です。
無責任なそれに惑わされないよう注意が必要です。






3.巨人の肩の上に立つ

かといって、ありとあらゆるアドバイスを無視して、我流で突き進むことが賢いとも個人的には思いません。
自分が時間をかけて考えた様々なことは、多くの場合先人が既に考えており、その結論の当否はさておき、同じ思考過程を経るとすれば、端的に時間を無駄にすることになります。
時間の制約が厳しい中で、時間の短縮をすることができるならば、一定の利益が得られることになります。



よく言われる表現として、巨人の肩の上に立つというものがあります。
スクリーンショット 2020-09-04 22.16.32
(学術用語の検索サービスであるGoogle Scholarのトップページにも同じ言葉が書かれています。先人たちの功績を積み上げてきたアカデミアの態度を示すようで、含蓄があるなあと感じます)

巨人の肩の上に立てば、巨人の見ている世界が見えます。
手っ取り早く高い視座から物事を見たいと思うときに、先人の知見を参考にするのは、前述のような弊害を考えても、なお意義のあるものでしょう。





4.成功者のアドバイスとどう向き合うか

そこで、私は、成功者のアドバイスを参考にするときは、次のようなことを気にしています。
ここまで読んでくださった方なら、もうここから先の結論に従う必要などないと感じていらっしゃるでしょうが、書いておきます。


◎結論のみが与えられているアドバイスは無視する。
どのような思考過程を経たのか不明で、その導出プロセスを短縮するという利益も得られない。
その内容が妥当なものか検証しようがないし、その根拠を提示してくれている多少信頼できそうなアドバイスもいくらでも存在する。

◎素人のアドバイスは読み物として読む意識を持つ。
他の人に特定の方法論を語ることを業としない人のアドバイスは、その話自体が面白いことはあっても、アドバイスとして洗練されていないこともしばしばである。
素人は、往々にして放言したままで、その助言に従った人のその後に責任を取ってくれない。

◎成功者がわざわざ語らないが、多くの成功者に共通する事項を探す。
目的を達成した理由としてわざわざ語らないような内容は、自己顕示欲のようなもののために語られたものではないため、その内容が歪められた可能性は相対的に低そう。
また、多くの成功者に共通する事項は、もしかすると成功するのに必要な要素かもしれない。



このように、アドバイスの持つ一般的な危険性を理解した上で、自分なりの基準を立てて向き合ってみると良いのでしょう。







今後自分が何かを発信するときに、より批判的な目で読まれるかもしれないことに今更ながら気がつきました。
今後とも厳しくもあたたかい目で眺めてくださると幸いです。







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0.質問箱の利用

以前よりTwitter(@abc_examinee)では連携していた質問箱なのですが、昨日はじめてブログの記事の参考にしてみました。
参照:アガルートの判例百選スピード講座の特徴・使い方・オススメできる人

もともとかなり適当に更新をしているため、このように記事の題材を募集できると、かなり便利だなあと感じました。
また、受験勉強を少しお休みしていることもあり、少しずつどんな内容を受験生が欲しているのか迷子になってしまいそうです。


そこで、これからも記事のネタを募集できるように、質問箱のリンクを貼っておくことにしました。

1.質問箱への投稿の方法

私の質問箱のリンクはこちらです。
https://peing.net/ja/abc_examinee

リンク先にある、テキストボックスに質問したい内容を打ち込んで、「質問を送信する」のボタンを押してください。
質問箱は匿名での質問が可能なので、気軽に質問をしてください。


2.回答の目安

元々気まぐれで更新をしているブログなので、質問してくださった内容について、必ず回答することを確約できません。
どうしても気になるときは、コメントやTwitterのDMなどで同じ内容の質問をしてくだされば、簡単に回答すると思います。


また、あくまで一受験生なので、どこまで意味のある回答ができるかは不明です。
ご容赦ください。


一つの質問に対して一つの記事を利用するとは限りません。
どのようにやっていくかは模索していきます。


質問箱を利用するのが億劫だったり気が向かなかったりする場合は、もちろん適当な記事へのコメントでも結構です。


逆に質問箱での回答はあまりしなくなると思います。
内容が気になる方はブログの記事一覧から回答がないか探してみてください。


全然質問が来なかったらそっとたたみます。
触れないでください。







以上です。
よろしくお願いします。







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